こうした冷静なつぶやきが多いのである。匿名をいいことに弱者いじめを楽しむ輩がのさばる無法地帯、といったツイッターのイメージとは相当違う。また、以下のような当事者によるツイートもたくさん目にすることができる。

〈精神疾患を抱えているものは、毎日薬をちゃんと飲んで、毎日規則正しい生活をして、質素に生き、大人しく暮らしている人の方が圧倒的に多い。京アニのこんな事件を起こす奴はただの凶悪犯だと思う。まともに治療している多くの人のために声を大にして言いたい!!!!〉

〈京アニ放火犯のことを「オタクっぽい男」「精神疾患持ち」と安易に報道した報道の方は全力で全国のオタク及び精神疾患患者に謝っていただきたい。特に精神疾患な。新幹線の事件もそうだけど、これでさらに私たちの肩身が狭くなる〉

〈放火犯が精神疾患だということ、今の段階で公表する必要ある?動機と深く結びついてる場合や裁判レベルで公表されるならわかるけど、まだ動機もわからない段階で言うべきことではないと、当事者として思います〉

16日午後2時ごろ、防犯カメラに映った青葉真司容疑者とみられる男(時事通信フォト)

 以前からツイッターの世界には、メンタルヘルスに難を抱える人のアカウントが多いことは承知していたが、今回はそうした当事者たちがかなり積極的に発言している。その発言に好意的なリプライやリツイートをしている場合も多い。逆に、妙な難癖をつけたり、からかったりするツイートは皆無に近い。

 軽はずみなもの言いをする者がほとんどいないのは、それだけ大規模で凄惨な事件だったからか。そうかもしれない。ただ、それ以上に、たくさんのアカウントが真剣で真面目な意見を発信、主体性を発揮している、といった印象が強い。そして、それぞれのツイートが互いに正の影響を与え合い、全体として健全な言葉が力を持つ世界を成立させている。

 精神疾患関連のニュースが流れるとすぐに荒れがちなツイッターは、人間の心の奥に潜んでいる差別意識を顕在化させ、増幅させてしまう困った装置だ、という見方を私はしていた。だが、今回はそれとはまったく正反対で、良識や知性の言葉が行き交うコミュニケーションツールとしてのツイッターという側面を見させてもらっている。この世の中もまだまだ捨てたものじゃないんだぞ、と教えてもらえている。

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