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「動物キス」 写真週刊誌の隠し撮りテクで撮られている

心が洗われる1枚(プレーリードッグの親子)

 北米に生息するリス科の野生動物、プレーリードッグの親子がキスしている写真。彼らは一夫多妻制で、コテリーと呼ばれる集団を形成し子育てします。同じコテリーに属する仲間と出会うと、お約束のように抱き合ってキス。体長30~40センチの小さな生きものなので、敵を確認するために親のほうが立ちポーズになり、子どもはそれに合わせ背伸びして鼻をこすりつけようとするのです。

 じつはこの行為、野生動物にとって互いが仲間であることを確かめる確認作業なのですが、どうみてもキスしているようにしか見えません。それに、互いの気持ちを確認しあうという意味では、キスと同じ。もう、掛け値なしに可愛くていやされる!

◆スクープ連発の果てに・・・・・すべてを失う

 こんな動物たちのキスの瞬間ばかりを集めた写真集『Kiss!』を撮影したカメラマン、小原玲さん。かつて『アザラシの赤ちゃん』ブームを起こし、最近は北海道にすむ野生の小鳥シマエナガの写真集をヒットさせ、カワイイ野生動物を撮らせたら日本一、という声も。ところが意外なことに、彼のカメラマンとしてのスタートは、創刊間もない写真週刊誌『FRIDAY』でした。

 とにかくプロになりたい、と小原さんは大学卒業後すぐに専属カメラマンへ。そこで田中角栄の入院、石原真理子×玉置浩二の熱愛、日航機墜落事故、ロス疑惑三浦和義の逮捕など、1980年代の読者であれば「ああアレ・・・・」とピンとくる数々のスクープをとばします。そして『FRIDAY』卒業後は日本を飛びだし世界の通信社と契約。中国、天安門事件の写真はアメリカ『LIFE』誌に載るなど、「憧れの人キャパに、すこしは近づけたと思いました。もうイケイケでした」(小原さん)。

 ところが──小原さんは30代半ばを前にして、シャッターを押せなくなります。

 ソマリアの難民キャンプでは「やせた子どもはいないか?」と血眼になって探し回る。でもどこのメディアも写真を買ってくれない。バブルに浮かれる日本では、飢餓の母子よりラーメン特集のほうが売れるからです。加えて戦地における壮絶な体験で精神の均衡を崩し、酒に溺れ、妻に捨てられ、健康も失い、自暴自棄に。阪神淡路大震災では現場入りを断念。もう、写真は無理か──。

 しかし、ふたたびカメラを手に取るきっかけをつくってくれたのが、戦争やスクープとは畑違いの動物たちでした。

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