1980年代後半に大ブームを巻き起こした光GENJIは、8月のコンサートを最後に当時25歳の大沢樹生と23歳の佐藤寛之が脱退。光GENJI SUPER5に名前を変えるも、翌年9月に解散する。
事務所を支えてきた両輪に動きがあった1994年、SMAP は3月に12枚目のシングル『Hey Hey おおきに毎度あり』で、初のオリコン1位を獲得。同作は、中居正広が主人公・田仲俊彦役を務めるなど、メンバー出演の映画『シュート!』の挿入歌だった。
4月には、中居と香取慎吾が『笑っていいとも!』(フジテレビ系)のレギュラーに抜擢される。生放送でアドリブの要求されるバラエティに、アイドルが起用されるのは異例だった。当時、香取は中居から〈『笑っていいとも!』のオープニングで、「いいとも」ってみんなで言うとき、なんで口パクなの?〉と質問を受け、こう答えている。
〈最初のころは…口パクでした(笑)。なんとなく、言えなかったの。最初は緊張したねー。今でも緊張してるよ。だって、あの番組は、もう3千回もやってるんだよ!? その中に、いきなり入るんだから、やっぱりプレッシャーあるよ〉(『POTATO』1994年8月号。一部抜粋)
毎週、プレッシャーに対峙したことが大きな飛躍に繋がっていく。
1994年は、テレビ界が“歌番組冬の時代”から脱却した年でもあった。フジテレビは10月17日開始の『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』で、司会のダウンタウンが歌手に遠慮なく突っ込みを入れていくトークスタイルを取り入れる。すると、開始6回目で20.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と大台を超え、人気番組に成長していった。
いつの時代も、ヒットが出ると同業他社は追随する。1995年4月の改編では、民放で10個もの歌番組がスタート。そして、1996年にとんねるず石橋貴明とSMAP中居正広司会の『うたばん』(TBS系)が始まり、歌手にもトーク能力や笑いの取れるキャラクターが求められるようになっていった。