まずは現状を聞く。
5年前に肝硬変と診断され、肝移植しか完治の見込みがないと言われたのだが、今はなんと、もっともよい数値に戻っているという。福岡に戻ってからの完全禁酒と、治療薬療法が功を奏したという。
しかし肝臓病の副作用は全身に及んでいる。3年前にはマンホールのわずかな段差に足をとられて転倒。大腿骨骨折の重傷。それももとは肝硬変による骨粗しょう症が原因という。自宅の近くではあったが、林葉は家まで足を引きずり歩き帰ったという。それから病院にも行かずに自室に引きこもった。姉が車いすを持ってきてくれてそれに乗って過ごしていたが、痛みは引かないまま3か月が過ぎた。
病院へ行くのはいやだったが、ついに諦めた。検査の末すぐに手術。人工骨でつなぎ合わされた。医者からは骨折した場所からいったいどうやって歩いて帰ったのかと驚かれた。不可能でしょう、と。
林葉はけらけらと明るく笑いながら語り続ける。
「真面目な話ね。いつでも死にたい、なんで殺してくれないの、神様、と思うの。じゃあ宝くじを当てるために生かしてくれてるんだとか、変なことも思ったり。肝臓を移植しないと完治はしないと言われてます。でも、して治る人もいれば、ダメな人もいる。どっちもどっちならしなくていい、と。最近は、何もしてないのに生きてるのはありがたいと思うようになったのよ」