年齢は若くても、不治の病に冒され、未来を失った組員・幹部がヒットマンになることも増えてきた。平成29年5月、千葉県松戸市で稲川会を破門になった箱屋一家総長が銃撃された事件の裁判を傍聴した時、ヒットマンとなった稲川会系組長は爽やかな表情で、自身の肝臓病を証言した。

 今回のヒットマンである丸山容疑者も持病を抱えており、透析治療を受けていることが分かっている。

◆カメラマンに偽装

 丸山容疑者は犯行に使ったものとは別に、もう一丁の拳銃を所持していた。その場で自殺するつもりだったのかもしれない。

「相手を殺してこいと言えても、死んでこいとは言えない。だが本音をいえば、相手を殺して自殺してくれればありがたい。取り調べで瑕疵を突かれ、上の人間がパクられることもないし、多額の弁護士費用もかからない」(指定暴力団トップ)

 平成16年4月、東京侵攻を活発化させた当時山口組の山健組幹部が、歌舞伎町の駐車場で射殺された。現場から逃走したとみられる住吉会幸平一家の幹部は、中野区の都立高校で警察官に発見されたところ、その場で拳銃自殺している。暴力団たちは拳銃を『道具』と称し、抗争相手の殺害を『仕事』と呼ぶ。この事件はいまも暴力団社会で『完璧な仕事』と称賛されている。

 丸山容疑者の仕事も手が込んでいた。犯行前、実際にカメラマンに偽装し、3時間ほど山健組周辺をうろついていたのだ。

 平時からヤクザ事務所に張り付いているのは、警察の捜査員と実話誌の取材スタッフのみである。彼らは雨の日も風の日も事務所の前に張り込んでいる。メンバーはみな顔見知りで、現場に新顔が登場するとすぐそれと分かる。

 この日も取材していた『週刊実話』の記者と『アサヒ芸能』のカメラマンが、犯行前の丸山容疑者という“ニューフェイス”を見つけ話しかけていた。この2人は山一抗争の時から暴力団取材をしているベテランだ。

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