「即位礼の警備のため、都内には全国から応援の警察官が入る予定でした。祝賀御列の儀が挙行されれば、行方不明者の捜索や復旧活動に従事している警察官の数が少なくなる可能性もあったわけです。しかし、延期された結果、応援の警察官の数は大幅に減員され、被災地の警察からの応援は無しとなりました。被災地で活動している警察官が即位礼のために少なくなるというのを避けるため、災害発生からできるだけ先で、かつ11月14日の『大嘗祭』の前ということで11月10日に延期となったのでしょう」
パレードは延期されたが、「即位礼正殿の儀」「饗宴の儀」などの行事は、予定通り行われた。皇居内で行われるのでそこまで警備の人員がかからないこと、パレードは雨天順延の準備があったこと、国外の賓客を招くので外交儀礼上、失礼があってはならないということだったようだ。
「雅子さまのご体調を考えると、パレードが延期された11月10日というタイミングが不安です。前日9日夜には、『天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典』が行われ、夜風が冷たい中、皇居前広場から見える二重橋の上に両陛下がお姿を見せられます。
パレードが終わればすぐ14日には大嘗祭が控えます。連日の即位関連の行事で、雅子さまの体力は大丈夫かと心配する声が上がっているようです」(前出・皇室記者)
実際、パレードの延期にはさまざまな意見があった。被災地を勇気づけるためにもパレードで両陛下のお姿を見せてほしいという声もあった。
「中止決定の直前まで政府内には予定通りにパレードを行うべきだという声が根強かった。ある与党幹部は“(台風は)気にせずに粛々とやるべき”と主張したそうです。
一方、宮内庁としては多くの被災者が苦しむ状況で行うわけにはいかないという態度を、水面下で政府官邸に伝えていたそうです。そもそも両陛下は、被災者のことを考えず、国民から祝われたいと考えるような方々ではありませんから、思い悩まれていたことでしょう」(宮内庁関係者)
強行か、延期か──そんな悩ましい状況に終止符を打った大きな要因の1つが、「美智子さまの誕生日行事中止」だったと関係者は声を揃える。
◆“美智子さまは望まれていない”と理解
美智子さまは10月20日、85才の誕生日を迎えられた。
即位礼が迫っていることから、もともと誕生日に関する行事は例年より簡素化されて行われる予定だった。しかし、今回の台風被害を考慮され、すべての祝賀行事を取りやめ、ご家族での昼食会のみが行われることになった。
誕生日の祝賀行事中止にあたって、宮内庁は文書を発表した。