芸能

木村拓哉 日曜夜の包丁さばきはアッパレと言うしかない

『グランメゾン東京』の撮影が行われたパリの三ツ星レストラン「ランブロワジー」。(写真/ロイター/アフロ)

 今クール最大の注目作は順調に滑り出した、かのように見える。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
『グランメゾン東京』(TBS系日曜午後9時)が話題を集めています。キムタク主演、パリの有名レストランを貸し切っての大規模ロケ。贅沢な食材に贅沢な配役、そして主題歌に山下達郎「RECIPE(レシピ)」……制作費は1話1億円ともささやかれています。そう、「鳴り物入り」とはこういう作品のことを言うのでしょう。

 肝心の評判は……順風満帆の船出と言ってもいい数字。第1話の視聴率が「二桁に乗った」というニュースに色めきたった人もいるはずですが、続く第2話はさらに数字を伸ばし13.2%(関東地区)。

 配役についても、安定感があります。木村拓哉を中心軸に沢村一樹、及川光博らが脇を固め、ライバルには尾上菊之助、手塚とおる。そして何よりも、いぶし銀の味を出しているのが女バディ的役割の鈴木京香。シェフ・早見倫子役を演じる鈴木さんの存在感が素晴らしい。ピッと背筋が伸びていて、凜としていて清々しい。その力がキムタクを輝かせています。

 キムタクの相手役として、ありきたりな、例えば若かったり美しいだけがとりえの女優「ではない」と、こうも物語の幅が広がるのか。目からウロコです。

 倫子は仕事師としての経験とプライドと夢を持ち、キムタクと同等の立場でフラットに登場。丁々発止のやりとりをしています。簡単には恋愛エピに流れない構成を感じさせる。これなら、レストランの挑戦話にじっくりと集中できる。無理矢理入れた恋愛エピに時間を消費しなくて済む。むしろほっとしている視聴者も多いのではないでしょうか。キムタクの周囲に同世代のおじさんやおばさんを配置する物語作りは、今後ドラマの可能性を拓く予感もします。   

 仲間とタッグを組み、それぞれ違う持ち味を発揮し、高い壁を乗り越えていく。そんな挑戦物語に新鮮味を感じます。

 そして何よりも注目すべき点が、木村拓哉演じるシェフ・尾花夏樹の役作りでしょう。「何をやってもキムタク」の汚名を返上すべく、捨て身の勢い。まず、尾花を演じるに当たって、「どん底の人生を送っている男はどんな服装をしているのか」ということにこだわったのだとか。たしかにレストランをクビになった尾花という男、よれっとした古着に身を包み、栄養不足のようにも見えるやつれたくすみ気味の肌をしています。

 あの妙な髪型も気になります。もやもやっとした前髪にサイドは刈り上げ。敢えて伸ばし気味の茶髪、強めにパーマ?をかけ、何だか野暮ったい。「堕ちた人の、やさぐれ度」まで醸し出そう、という狙いなのでしょう。

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン