眞里子:あの時、政府は“日本はまだまだ安い。世界には20%以上のところもある”って言っていましたが、そういう国は、薬とか食料品には税金がかかってないんです。単にパーセンテージだけ言うからずるい。今回だって食品は8%だけど、なんで医薬品にかけるんだ?って思いますもん。
眞弓:それも政治に無関心だから、政府のいいようにされてしまう。
眞里子:あの話は、「選挙に行け」というのがテーマだったんです。政権が固定するといいようにやられてしまうから、文句を垂れる前に選挙に行けと。
◆大事なものはあさりちゃんから教わった
『あさりちゃん』は単なるギャグ漫画にとどまらず、学習的な要素が含まれている。例えば消費税のような時事ネタ、春の七草などの慣習を扱い、「唯々諾々」といった難しい熟語も作品では使われている。
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眞里子:私たちも啓蒙したい気持ちはあるんです。例えば、食べ物に対しても、きちんと知識を持ってほしいとか。今は両親とも忙しくて教えてやれないこともたくさんあるから。私自身、漫画を見て知ったことがいっぱいあるんです。
眞弓:タタミのように秀才になりたくて勉強をした、というお手紙は来ます。それで何人も東大に入ったと。特に医学部の子は多いです。一度、家庭教育雑誌でインタビューを受けた東大生の女の子が掲載誌を送ってきてくれたことがありました。“大事なものはあさりちゃんに教えてもらった”と話をしたからと。そう言ってくれる人がいて本当にうれしいです。
眞里子:あさりは、勉強はできないけど、そのぶん明るくてポジティブ。それがギャグ漫画には大事なことなんです。
眞弓:運動神経がいいのも大事。とにかく元気で、考えるよりすぐ行動するのもあさりのいいところ。
眞里子:勉強はできるに越したことはないけど、それよりもポジティブで元気な方が幸せになれるんだろうと思います。
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連載時から時代の流れを丁寧に描き、大切なことを、あさりちゃんを通じて伝えてきたからこそ、令和の時代になっても私たちの心に『あさりちゃん』は響き続けている。
【プロフィール】
室山まゆみさん/熊本県出身。姉・眞弓さんは8月30日、妹・眞里子さんは9月27日が誕生日。『あさりちゃん』のコミックは1~100巻まで発売された際、「二人組による1コミックシリーズ最多発行巻数(女性作家)」として、ギネス世界記録に認定された。
※女性セブン2019年11月21日号