「秋篠宮さまの真意まではわかりませんが、“兄から弟への皇位継承”となる場合、現行の皇室典範のもとでは前例のない難題が生じるのは事実です。今回の即位礼正殿の儀から大嘗祭までの皇位継承関連の儀式を見ても、相当な体力が必要なのは明らかで、それだけでも70代半ばのようなご高齢での即位に伴う困難だといえるでしょう。もちろん、即位してからの天皇としての多忙なご公務に支障が生じないかも心配される。そうしたことを考えて、秋篠宮さまが“次の天皇”は若い世代である長男の悠仁さまに、というお考えがあってもおかしくない」
ただし、そうなれば皇位継承順位を飛ばすことになる。現行の皇室典範では、“即位辞退”は不可能だ。
一方で、今回は高齢を理由とした生前退位が特例法によって実現している。前述の朝日新聞記事でも、それにより〈タブー視されてきた「即位辞退」の可否もが議論の俎上にのぼり出した〉としている。
「実際、今年2月に野党が国会審議で『皇嗣の地位にある皇族が継承を望まないという意思表明をした場合、どうするのか』と質問している。この時は、宮内庁が『仮定を前提にした質問には答えられない』と応じたが、その後に朝日の一面記事が出て、官邸や宮内庁に対して、改めて“即位辞退”の現実味が突きつけられた格好です」(同前)
秋篠宮の発言を巡る報道が波紋を広げる一方で、こうしたかたちで議論が喚起されることへの懸念の声もある。國學院大學名誉教授の大原康男氏はこういう。
「皇位継承については、皇族方の個人的なお考えだけをもとに議論を進めるべきものではありません。宮内庁を所管する責任を持った立場にある政府が、有識者の意見を聞きつつ、皇位継承者の安定的確保を考えていく。そこで出た結論に対して、皇族方にご協力いただくということでしょう」