鈴木にしてみれば痛恨の池ポチャ。このホールをボギーとし、パーセーブに成功した渋野が優勝者となった。スコア提出後、鈴木は固い表情で、渋野と回った1日を振り返った。
「別に何も思わないです。自分のプレーに徹していたので。自分も良かったけど、それより彼女(渋野)がスコアを伸ばしただけ」
ラウンド中、お互いにスコアを伸ばせば、「ナイスバーディ!」と声をかけあうものの、会話らしい会話はまるでなし。ホールアウト後もハグすることはなく、握手するだけだった。
それから3日が経過した。決戦の地・宮崎で、改めて鈴木はあの一打を振り帰り、2年ぶり2度目の賞金女王への“欲”を口にした。
「それほどミスショットというミスショットではなかったんですけど、結果的に池に入って、惜しくも2位だった。あの負け方は、自分らしくない負け方だった。ああいう負け方をしていなかったら、最終戦はトップ10に入ればいいというか、ぼちぼちでいいやという感じだった。今は(賞金女王を)優勝して決めたいという気持ちがかなり強いです」
◆渋野にとって鈴木は「憧れの存在」
今季の女子ゴルフは最終戦に至って盛り上がりが最高潮に達している。その要因は、デビューイヤーながら、国内ツアーで4勝をあげ、さらに8月の全英女子オープンを制した渋野の躍進に尽きる。
飾らない性格と、思ったことをそのまま口に出す“シブコ節”──プレッシャーを笑顔ではねのけるスマイルシンデレラは、瞬く間に国民のヒロインとなった。