吉田義男は”牛若丸”と呼ばれた(時事通信フォト)

◆カネやんも一目置いた

 昭和28年、167cmで立命館大1年の吉田義男が阪神に入団。昭和25年に現役を引退した後も、阪急の監督を務めていた浜崎が高校時代の吉田を「こまいヤツはいらん」と獲得を見送ったと言われていたが、のちに吉田自身が「自分から、小柄なので自信がないと断わった」と否定。そんな噂がまかり通ったのは、浜崎が毒舌で鳴らしていたことも無縁ではなかった。

 昭和35年、巨人の投手コーチに就任した際には、オーナーの正力松太郎から麻雀禁止令を出されると、「正力に会わせろ」と言い放ったという逸話まである。

「実際は物腰の柔らかい人で、選手から“おじいちゃん”と慕われていました。ナイターのある日の午前中、水原茂監督とおじいちゃん、堀本(律雄)でよく麻雀をしました(笑い)」(中村氏)

 日本人男性の平均寿命が67.21歳だった昭和38年、61歳で国鉄の監督に就任。主軸を任されていた徳武定祐氏が語る。

「あの金田正一さんも一目を置いていました。おしゃれで品が良く、威厳のある人。試合後、風呂で一緒になると、タオルで股間を隠さずに堂々と歩いていたことをよく覚えています」

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