◆歯ブラシ生産日本一の地にある「歯の神」/歯神社(大阪)
大阪・梅田のど真ん中にあるのが、日本で唯一の「歯神社」だ。街の一角、3畳ほどの土地に小さな祠と大きな銀杏の木がそびえる。明治以降、綱敷天神社の末社となった。
「室町時代にお稲荷さんとして巨石を祀ったのが始まりです。江戸時代中期の淀川の大洪水の際、迫る水の流れを御神体の巨石が食い止めたおかげで、梅田周辺は水没を免れた。村を水害から守った“歯止め”神社と呼ばれるようになり、語呂が転じて“歯痛止め”となりました」(綱敷天神社の白江秀知・禰宜)
“歯止めの巨石”はいまも地中に眠り、祠の前に表出した一部は“なで石”と呼ばれる。
「石を撫で、自分の歯をさすれば痛みが和らぐと信じられています」(同前)
歯痛に悩む人だけでなく、歯科医など「歯」に関わりのある職業の人から崇敬を集める歯神社。6月の例祭では参拝者らの歯の健康が祈念され、古い歯ブラシを神様にお返しし、新しい歯ブラシを授かる『歯ブラシ授与』という珍しい行事も。歯ブラシ生産量日本一・大阪ならではの神様だ。