芸能

なぜKing Gnuの曲はCMや映画に引っ張りだこなのか

「どろん」も収録されたアルバム「CEREMONY」

「どろん」も収録されたアルバム「CEREMONY」

 映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』の主題歌「どろん」も、SNSミステリーという題材を充分理解したうえでサウンドが組まれた楽曲と言っていい。

 マイナーコードのギターに重なる常田と井口による早口の歌い出しは静かに恐怖を突きつけるようにシリアスで、曲中にもハードロック的な重めのサウンド感やシャウトが多用されるセクションもあるなど、鬼気迫るものがある。

 だがその一方、金管楽器や軽快なビートを用いて“スマホ”という身近でキャッチーな存在や、千葉雄大、白石麻衣、成田凌といった若手キャストによるポピュラルティや華やかさを投影。バンドの生のグルーヴは、恐怖に立ち向かう人間の底力を表現している。

 というように、作品や商品の空気感を重要視しながらも、バンドの特性を生かしたソングライティングとアレンジ、演奏を繰り広げるからこそ、彼らは数々のタイアップ楽曲の書き下ろしを実現できる。

 彼らの楽曲には音楽力と人間力の両方が不可欠であり、それが彼らがロックバンドとしてJ-POPシーンに存在できる理由と言っていいのではないだろうか。そしてその多岐にわたる選択肢を持つサウンドの調合の可能性はまだまだ未知の世界。“ニュー・トーキョー・ミクスチャー・スタイル”は、これからも新しい時代を切り拓いていくだろう。

●文/沖さやこ(音楽ライター)
●画像提供/ソニー・ミュージックレーベルズ

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