◆森友火消しの四人組
もう一人の重要なキーマンが遺書に度々登場する財務省の太田充である。首相の「私や妻が」発言のあった2017年2月17日の5日後の22日、大臣官房審議官だった太田は、佐川とともに官房長官の菅義偉に呼び出され、森友対策を練った。応接記録などを破棄したという佐川の国会答弁を記者に突っ込まれた菅は、驚いたことに、この直後の24日の官房長官会見でこう言い放っている。
「(交渉経緯の)ほとんどは決裁文書に書かれているんじゃないでしょうか」
そこから近畿財務局の職員たちが佐川の指示により、決裁文書に記されている300か所におよぶ不都合な真実の改竄を繰り返したのである。
一方、これには疑問も残る。決裁文書には理財局総務課長の中村稔の承認印もあり、中村も菅との協議に加わって説明している。普通に考えれば、財務省の彼らは菅に決裁文書に昭恵の名前が何度も出てくることを報告したはずだ。
にもかかわらず、菅は24日、あたかも決裁文書を見てくれ、と言わんばかりの会見を開いている。財務官僚が説明を忘れたか、それとも官房長官がうっかり口走ってしまったのか。どちらにせよ結果、改竄前の文書内容が大問題になる。実に間の抜けた話なのである。
この菅、佐川、太田、中村という森友国会対策の四人組が、文書改竄の経緯を解明する鍵を握っているのは疑いようがない。それに加え、事務次官の福田淳一、官房長の岡本薫明や矢野康治、理財局次長の中尾睦、国有財産審理室長の田村嘉啓、国有財産企画課長の冨安泰一郎といった当時の面々。彼らも文書の改竄にかかわっているか、知りうる立場にあった。だが、国会では与党の数の力で多くが国会招致を免れ、尋問されてもシラを切り続けてきた。
財務省内では、会計検査院の審査に備え、森友学園との土地取引が法に触れないか、検討した。そのときの文書ものちに明らかになった。遺書はそこにも触れている。