ライフ

【水谷竹秀氏書評】在宅での「命の閉じ方」の答えを探求

『エンド・オブ・ライフ』佐々涼子・著

【書評】『エンド・オブ・ライフ』/佐々涼子・著/集英社インターナショナル/1700円+税
【評者】水谷竹秀(ノンフィクションライター)

 余命幾ばくもないと宣告され、もし何でもいいから希望を叶えてあげると言われたら、何を望むだろうか。美味しい物を食べたい、思い出の地に行きたい、生演奏を聴きたい、桜を見たい……。

 そうした思いを、患者に寄り添いながら実現させてくれるのが、京都で訪問医療を行う渡辺西賀茂診療所である。自宅で終末医療を望む人のために、医師や看護師が彼らの家を訪問するのだ。本書は、そこで働く訪問看護師、森山文則に出会った著者が、彼を通して見えた在宅医療の在り方を、丹念なルポで浮かび上がらせている。

 2人に1人が癌になる今の時代において、本書に登場する患者たちの最期は実に様々だ。遠方まで潮干狩りに出掛ける女性、自宅でハープの演奏会を開いてもらう男性、家族でディズニーランドに行く女性……。いずれも末期症状なのだが、最期まで生ききる姿は、自由で強く、そして美しかった。

 といっても現場は、光の部分ばかりではない。自宅で激痛に苦しむ男性は自殺に追い込まれ、父親の下の世話をする息子は仕事と介護の両立に疲れ果て、決して他人事には思えない。そんな老後を想像しただけで、身の毛もよだつ。

関連記事

トピックス

食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《“七三分け”白髪の石橋貴明が動き始めた》鈴木保奈美「私がお仕事をしてこられたのは…」“再ブレイクと闘病中”元夫婦の距離感
NEWSポストセブン
波瑠と高杉真宙の仲睦まじいツーショット
《波瑠がメガネと白セーター姿で高杉真宙にピッタリ寄り添い…》「思い出深い1年でした」新婚ホヤホヤの2人は“お揃いのデニムパンツ”で笑顔の神対応
NEWSポストセブン
『激走戦隊カーレンジャー』でピンクレーサー・八神洋子役を演じ、高い人気を得た来栖あつこさん
《スーパー戦隊50年の歴史に幕》「時代に合ったヒーローがいればいい」来栖あつこが明かすイエローとの永遠の別れ、『激走戦隊カーレンジャー』ピンクレーサー役を熱演
NEWSポストセブン
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
《識者が“皇族の喫煙事情”に言及》「普段の生活でタバコを吸われる場合は…」秋篠宮さまの“車内モクモク”動画に飛び交う疑問
NEWSポストセブン
小室さん眞子さんのNY生活を支える人物が外務大臣表彰
《小室眞子さん“美術の仕事”の夢が再燃》元プリンセスの立場を生かせる部署も…“超ホワイト”なメトロポリタン美術館就職への道
NEWSポストセブン
今年成年式を終えられた悠仁さま(2025年9月、東京・港区。撮影/JMPA) 
《自らモップがけも…》悠仁さまが筑波大バドミントンサークルで「特別扱いされない」実情 「ひっさー」と呼ばれる“フラットな関係”
週刊ポスト
結婚を発表した長澤まさみ(時事通信フォト)
《トップ女優・長澤まさみの結婚相手は斎藤工と旧知の仲で…》インスタ全削除の“意味深タイミング”
NEWSポストセブン
長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「クマが人里に降りてくるのは必然」「農業は野生動物に対する壮大な餌付け」 知床・ロシアでヒグマを撮った動物写真家が語る “現代の人間に欠けている自然観”
NEWSポストセブン
11人家族の宮前家
《子ども9人“大家族のパン屋さん”》「店員さんが注文を覚えきれなくて(笑)」11人家族のインフレ“金銭事情”と、大人数子育てで培ったこと「マニュアル本は役に立たない」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン