組合幹部によれば、飛田新地の近年の利用客の内訳は3割が地元の人で、出張族などを中心とする府外の人がおよそ5割。残りの2割はインバウンドの中国人観光客だった。
今年の春節(1月25日)あたりから中国からの観光需要が見込めなくなるなどして、売り上げが半減。3月に入ると8割減という壊滅的な状況にまで落ち込んでいた。3月末の時点で、およそ3分の1の店舗が経営難で自主的に休業していたという。
そして3月31日、組合は飛田会館で緊急会合を開催。ここで、政府が緊急事態宣言を発令したら全料亭の営業を休止することを決めた。
「会合で訴えたのは、私らは“絶滅危惧種”だということ。小さな街の一角で、建物も古い木造建物。ひとたび地震や火事が起きれば壊滅する。それはコロナでも同じ。ひとりでも感染者が出れば終わりです。一度客が離れたら、飛田はもう復活できない。通常の歓楽街と私らは違うんやということを、組合長も何度も伝えて説得しました。
実際、みんな分かっとったんです。街そのものがギリギリで生き永らえておるということを。抵抗していたブロック長たちも最後は分かってくれた」(別の組合幹部)
4月に入り、大阪府知事の声明や医師会による緊急事態宣言の提案に耳を傾けた結果、政府の決断よりも早い4月3日に全店舗休業を前倒しで決行することに。ただし、緊急事態宣言前での休業実施だったこともあり、強引に営業を続ける構えの店もあったという。そこで組合は全店に「厳命」と題した文書を通達した。
〈明日、4月4日(土)に営業されている店舗は組合から除名処分と致します。最後のお願いです〉