そもそも江ノ島がある神奈川県も「自粛」が要請されているんだから、遊びに来るってどーなのよ? なんてことを思う。ネットには「これからコロナに感染するのは自粛しなかった人達だからもう検査しないでいいだろw病院も満員だし保健所で断ればいい」という極端な書き込みがあったが、結局強権発動できない日本の政府と各自治体の弱さが今回のような有事で明らかになったということだろう。
トイレットペーパー不足の時は「マスゴミは空っぽの棚を映すのではなく、倉庫に在庫がたくさんある様子を映せ!」「混雑している様子ではなく、ガラガラの様子を映せ!」といった批判がネットではあった。2次被害を減らすためには至極真っ当な意見である。
だからこそ、フェイスブックで、「空っぽの棚を映して公開するのやめませんか? そういう方と“ともだち”でいたくない」といった批判をする人も出てきた。あとはネットのスピードの速さも感じたのが「新型コロナは26~27度で死滅するから白湯を飲め」という説が突然登場した時のことだ。すぐに「体温より低いだろ!」とツッコミが入り、以後「36~37度」「56~57度」という形でウイルスの如くこのデマも変容を遂げながら「ンなワケねぇ!」と適宜ツッコミを食らい続け、この珍説は消えた。
一方、テレビが何を言おうが、その場ではツッコミ役はあまりいない。出演者も「割って入るのはどうかと思う……」的な大人の対応をする。それが結果的に純粋バカの暴走に繋がってしまうのである。
●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など
※週刊ポスト2020年5月8・15日号