一方、2010年に、小説の分野で中国で最も権威がある「魯迅文芸賞」を受賞した著名な女性作家、方方氏は武漢市が都市封鎖された2日後の1月25日から市民の生活を中心にネット上で報告。封鎖解除の4月下旬まで続けている。

 当局が中国全土への流行拡大を阻止しようと奔走するなか、隔絶された武漢住民の不安や怒りを赤裸々に描いている。住民たちの助け合いや、部屋に日の光が差し込んだ時に感じる小さな喜びについても書くと同時に、超満員の病院で患者が追い返されたといった政治的に微妙な話や、マスク不足や親戚の死についても触れている。

 ある日の日記にはこう書かれている。「友人の医師から『人から人への感染があることは、実はわれわれ医者の間ではしばらく前から分かっていた。われわれは上司たちにそれを報告したが、だれも人々に警告しなかった』と聞いた」。

 政府から独立したメディアがない共産党独裁国家の中国で、検閲されていない武漢からの報告を読もうと、方方氏のオンライン日記に多くの人が殺到したことにより、こうして日の目を見ることになったのだ。

 AFP通信によると、方氏が64歳と高齢で、著名な作家であることから、当局も当初は黙認していた。だが、米国が流行初期の中国の対応が透明性を欠いたために、世界は貴重な時間を無駄にさせられたと非難し、米中間で新たな外交問題になると、SNS上で、方氏に批判的な書き込みも急増。

「上出来だよ、方方。お前は欧米諸国が中国を攻撃するための弾を与えているんだ」「裏切り者の本性を現したな」や、「日記を一体、いくらで売ったんだ?」と、4000人近くが亡くなった武漢の悲劇で金儲けをしていると同氏批判する投稿もあった。

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