「当時、巨人で活躍していた長嶋さんの母校、立教大学に進もうと考えたんです。そこで立教大学のセレクションを受けた。でも、『合格間違いなし』といわれていたのに、学力が足りないという理由で12月に不合格になってしまったんです」
1年に2度も試練に見舞われた江本さんだったが、捨てる神あれば拾う神あり。法政大学のセレクションに合格し、東京六大学野球リーグで大活躍。卒業後は社会人チームを経てプロ入りして3つのチームを渡り歩き、プロ通算113勝を挙げている。
「世の中には目的地にたどり着くまでにいろいろな道がある。いつまでも下を向いていないで、『人生何が起きても怖くない』という気持ちに切り替えてほしい。私の経験から言えば、明確な目標さえ持っていれば、大学、社会人と野球を続けることはできます。続けていると、プロで113勝できたりもするわけです」
そう激励しつつ、「球児たちの“はけ口”を作ってやることが必要」だと語る。
「感染防止の観点から考えると、宿泊せず自宅や寮から日帰りできる都道府県単位で大会をやるのが現実的。全国規模でなくても、ずっと練習をしてきた仲間と力を合わせて対外試合をやったという事実が重要なんです」
江本さんは、「社会には不運や理不尽なことがいくらでもあるのだと、高校野球に教えてもらった」と笑った。
※女性セブン2020年6月11日号