ついには、机の下で紙おむつまで脱いでしまい、こうも言っていた。
〈私の政見放送は「きんたま」すら放送禁止用語にされました。なのにNHKさん、玉袋筋太郎などという世にも奇妙な名前のタレントにレギュラー番組を与え、NHKで玉袋を露出させています。ビートたけしの玉袋は放送したくせに、後藤輝樹の玉袋は放送禁止。それから、まんぺこー、も放送禁止になりました。(中略)私が作った造語です。なのにNHKさん、『マンピーのG☆SPOT』などという明らかにいかがわしいタイトルの曲をジャニーズ事務所の二流とも三流ともつかないタレントにNHKで歌わせています。桑田佳祐のマンピーは放送したくせに、後藤輝樹のまんぺこは放送禁止。こんな不公平なことがあっていいのでしょうか〉
4年前の2016年に立候補した際の都知事選の政見放送をチェックしてみると、たしかに無音削除だらけだった。音が消された部分は、ほぼすべて男性器と女性器のさまざまな俗称。お前は下ネタ好きの小学生か!とつっこみたくなるほど繰り返し連呼し、それらがいちいちカットされている。ぜんぶで80カ所以上あったという。
なぜ、そんなに性器を連呼したのか。それについては、白Tシャツにあった「ちんこ主義」に基づくもののようだが、さほど深い話には思えないので説明は割愛する。ただ、今年の政見放送の後藤候補はいたって真面目に、こんなふうにも言う。
〈実を言いますと、私は下ネタは嫌いです。家族と見ていて気まずい思いをしたことを、私も何度もあります。しかし、これは政見放送です。ふざけてやっているわけではございません。命をかけて真剣にやっております。日本社会に漂う閉塞感、無関心、無責任。ほんの少しでも政治や選挙に興味を持ってもらいたい。なので、あえて道化を演じています〉
やっていることは今回だって放送禁止スレスレ。けれども、根っこは意外に真面目だからということだろうか。選挙期間中、ネット上では基本好意的に話題の人とされていて、開票結果でも全22名中の8位、得票数は約2万2千票だった。あのNHKをぶっこわせの立花孝志候補の半分近くの票を獲得。『週刊実話』ではあるが、〈今後につながる出馬だった〉と評価するマスコミまであった。でも、そうやって好意的に見るのって、どうなの? ちょっとおかしくないか?
後藤輝樹のオフィシャルサイトを見ると、その政策提言や思想は極右と重なるようなところあるのだが、それは横に置く。純粋に、上記した今回の政見放送のみでの評価なのだが、私の感覚では、これは問題大ありだと思う。なぜ炎上しなかったのか、炎上して当然ではないだろうか。
問題は何か。それは紙おむつである。加えて、お漏らしうんこ状のシミをつけたことである。なにが言いたくてそんなことをしたのかは不明なのだが、ただ単純にウケを狙ったのだろう。その浅はかさが、実に残念だ。