国内

都知事選、ある泡沫候補の政見放送 笑ってはいけなかった箇所

現職小池氏の圧勝に終わった(時事通信フォト)

 ネット世論なるものが認知されるにしたがって、選挙の性質も様変わりしている。コラムニストのオバタカズユキ氏が都知事選を振り返った。

 * * *
 もう1週間が経つのか。あっけなく終わった東京都知事選だった。選挙期間中は緊急事態宣言こそ解除されていたが、まだまだ自粛ムードでピリピリしているコロナ禍の最中。後半、それまで落ち着いていた東京の新規感染者数がまたぞろ急増したことで、「もしや批判票が動くか」と数ミリだけ思った。けれどもそんな私の期待など何処吹く風で、小池百合子が得票数366万票、得票率59.70%で圧勝した。毎評判通りだった。

 小池知事のコロナ対応は決して誉められたものではなかったと思うのだが、ヒトは非常時の変化を嫌うということだろうか。対抗馬としてロクな候補がいなかったという意見もある。たしかに2位となった宇都宮健児の左翼ぶりは古臭すぎてもううんざりと思ったし、3位の山本太郎はいまだに色物として見られていた気配がある。いずれにせよ、一強他弱すぎて盛り上がりようがなかったことは確かである。

 ただひとつ、この選挙で私が気になった候補者がいる。トランスヒューマニスト党の後藤輝樹(ごとうてるき)という37歳の候補だ。ご記憶に残っているだろうか。

 政見放送での紹介は、「皇歴2642年12月8日降臨爆誕、9連続落選、輝樹塾塾長、輝樹教教祖、カリスマ、革命家、愛国者、救世主、神様、変人などなど」というものだったが、都知事選の泡沫候補の中によくいる完全に頭のネジが飛んじゃっている人、では、たぶんない。ネットでけっこう話題になったのは、そのNHKの政見放送の内容ではあるものの、話が支離滅裂で、電波が飛びまくりとか、そういう類のものではない。

 以下、政見放送をちょっと再現してみる。

 まず後藤は、満面の笑みで視聴者に向け両手を振ったかと思うと、黒いセーターを脱ぎながら、〈世間がなんぼのもんじゃい。常識がなんぼのもんじゃい〉と喋り始め、次に「ちんこ主義」と胸に書かれた白Tシャツを脱ぎつつ、〈NHKがなんぼのもんじゃーいー!〉と言い放った。

 そしてズボンを脱ぎながら、〈国家権力~、国家権力~、国家権力クソ食らえ~〉と歌い、こんどは紙おむつ一丁の姿で机の上に立ちあがり、〈生レバー、食べるよ~ぅ、国家権力クソ食らえ〉と後ろを向いて紙おむつのおしりを突き出すと、ちょうと肛門があるあたりの丸い大きなシミを見せた。かなりリアルなお漏らしうんこのような茶色いシミだった。

 なんだ、これ……。夜中のNHKで初めて彼の存在を知った私は、当初、これを自分の中でどう位置づけていいかわからず、戸惑った。

 観ているこちらを笑わせにかかっているのはわかるのだが、クスッともプッとも来るわけじゃない。かといって、前述したように電波系ではなさそうで、ヤバい感じもない。話の内容はいちおう筋が通っているのだが……どこか不快だ。

 後藤候補曰く、〈私が今回の都知事選に立候補した理由は、3年前のR1グランプリ、アキラ100%さんの優勝がきっかけです。4年前の都知事選、私の政見放送、「ちんちん」と発言したことで放送禁止になってしまいました〉と。〈服を着ていた私が禁止で、ふるちん全裸のアキラ100%が地上波で放送、おとがめなし〉なのは理不尽にすぎるのでは、と。

関連記事

トピックス

鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
松田烈被告
「テレビ通話をつなげて…」性的暴行を“実行役”に指示した松田烈被告(27)、元交際相手への卑劣すぎる一連の犯行内容「下水の点検を装って侵入」【初公判】
NEWSポストセブン
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
会談に臨む自民党の高市早苗総裁(時事通信フォト)
《高市早苗総裁と参政党の接近》自民党が重視すべきは本当に「岩盤保守層」か? 亡くなった“神奈川のドン”の憂い
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
連覇を狙う大の里に黄信号か(時事通信フォト)
《大相撲ロンドン公演で大の里がピンチ?》ロンドン巡業の翌場所に東西横綱や若貴&曙が散々な成績になった“34年前の悪夢”「人気力士の疲労は相当なもの」との指摘も
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
アドヴァ・ラヴィ容疑者(Instagramより)
「性的被害を告発するとの脅しも…」アメリカ美女モデル(27)がマッチングアプリで高齢男性に“ロマンス”装い窃盗、高級住宅街で10件超の被害【LA保安局が異例の投稿】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン