候補者は乱立した(時事通信フォト)

 なぜって、どうして想像できなかったのだろう。大人の紙おむつっていうのは、仕方なくするものだ。人によっては、自分の尊厳を大いに傷つけられながら、しかし、病気や障害などでそうするしかないので紙おむつをはく。

 要介護の高齢者とてそうだ。認知症の人でも、紙おむつに抵抗を覚える人は多い。やはり尊厳に関わるからだ。そこに「お漏らし」しても、ケアスタッフに隠してしまう人も少なくないと聞く。他の誰かに下の世話を喜んでしてもらう人などいないからだ。そうなってしまった自分というものは、なかなか受け入れがたいのだ。

 当事者の家族だって複雑な気持ちである。高齢だから仕方ない、と簡単に割り切れるものではない。語弊のある言い方かもしれないが、紙おむつを使うには、壊れていく親を直視する必要がある。自分を育ててくれた親という像を、別のものに描き変える必要がある。それは悲しく、辛い経験だ。

 政見放送を見た人の中には、当事者もその家族も大勢いたはずである。後藤候補はほんの少しでも、そういう目線のあることを想像しただろうか。していないから笑いネタにできたのだろう。若いから仕方ないか。否、その程度の想像力のない人は、泡沫候補だろうが政治家を志してはいけない。

 公職選挙法には、「NHKおよび基幹放送事業者はその政見をそのまま放送しなければならない」という決まりがある。また、「他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害し又は特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする等いやしくも政見放送としての品位を損なう言動をしてはならない」との制限もある。

 紙おむつもシミも、法的制限にはひっかからないだろう。でも、ダメなのだ。どうしても裸になりたかったのなら、それこそアキラ100%のように、お盆でも持ってふるちんで自分を表現すれば良かったのである。

関連記事

トピックス

イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
将棋界で「中年の星」と呼ばれた棋士・青野照市九段
「その日一日負けが込んでも、最後の一局は必ず勝て」将棋の世界で50年生きた“中年の星”青野照市九段が語る「負け続けない人の思考法」
NEWSポストセブン
東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
「鳥型サブレー大図鑑」というWebサイトで発信を続ける高橋和也さん
【集めた数は3468種類】全国から「鳥型のサブレー」だけを集める男性が明かした収集のきっかけとなった“一枚”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン