試合当日、解せなかったのは、4番を任せていた佐々木を打者としても起用しなかったことだ。

「疲れている佐々木よりも、野手のほうが振れるだろうし、(勝利には)可能性があるのではないか。そう判断しました」

 しかし、私には、甲子園出場と、佐々木の将来を天秤にかけ、後者を選択したように映った。花巻東戦では、先発に、4番手に目されていた3年生・柴田貴広を起用し、大量失点するや2年生左腕を投入した。端から勝負を諦めているかのような選手起用だった。私は、責任を背負い込んだふたりが試合後に泣き崩れていた姿が忘れられない。

「もちろん、勝負を捨てたわけではありません。花巻東の強力打線には、右サイドで変則の柴田のほうが、初登板で疲れもないし、少しでも抑えられるのではないかという期待がありました」

 試合前、國保は佐々木に「先発では起用しない」とは伝えていたが、「リリーフとしても野手としても起用しない」とは伝えていない。それは他の選手に対しても同じ。すべてを独断で決めた。

「選手が納得しているのか、ということですよね? 納得している者もいれば、いない者もいる。個々人で違うのかなと思います。事前に、本人に相談したら、『投げたいです』と言うのは明らかだった。野手に伝えたら、『僕らが朗希をサポートするので、投げさせてやってください』と言うに決まっています。一言でも彼らに相談したら、(佐々木の登板を)止められなくなると思いました。もし疲労困憊の状況でマウンドに上がったら、力んで投げて、肩、ヒジ、腰、股関節、膝……想像でしかありませんが、将来に残るようなケガのリスクは高かったんじゃないかなと思います」

 だからこそ、すべてをひとりで背負い込み、大きな誤解も生んだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン