──そして今度は『太田光物語』に挑む。
山田「去年、『藤山寛美物語』を公演した後、高田先生が『次は江戸の笑いを引っ張っていく芸人の話を作れ』と仰った。その芸人さんは誰ですかと問うと、すぐ『太田光だ』とお答えがありましてね。もうそこからは一心不乱に取材の日々でした。太田光さんの生き方を通して、現代の喜劇人の生き方、考え方を学べましたねえ!」
──山田さんが演じる「かたりの世界」のユニークさは、舞台に題材となった御本人が登場するというところですね。
山田「それを僕はストップモーションと呼んでるんですがね。御本人が来て『そのくだりは違う』とか指摘されるのってスリリングなんです。当事者の視点が入ることで世界がひろがるというか。単純に僕が御本人の語りが大好き、生本番のハプニングを楽しみにしてるところが大きいんですけど」
──今度は太田さん以外に高田先生、松村邦洋さんもお迎えしてクロストークが実現する。
山田「どうなるんでしょうね! 太田さんだけでも凄いのに。もう、僕は寝ても覚めても太田光という人の世界に住んでる状態ですから、どんなことがあってもいいと覚悟してるんです。太田さんを語る僕が先生方に丸裸にされるかもしれないですけど、そんな自分を見てみたい気もして。幸せなんです!」
笑いのご意見番・高田文夫、トップ芸人・太田光を魅了する山田雅人の「かたりの世界」。10月23日は、日本の笑芸界に新しい何かが起こるか。
◆取材・文/岸川真(作家)