悪路走破性の確保に“全集中”したクルマ

 見た目は大変ファッショナブルになった第4世代ジムニーだが、クルマ作りの思想は変わっていない。果たしてカッコいい、カワイイと飛びついて大丈夫なクルマなのだろうか。グローバル販売の主体であり、ミニゲレンデヴァーゲンの雰囲気がことさら色濃い1.5リットルエンジン搭載の普通車版「ジムニーシエラ」で600kmほど北関東方面をドライブし、チョイ乗りではわからない部分の特質を改めて見てみた。

渡良瀬遊水地の管理道路を走る

渡良瀬遊水地の管理道路を走る

 市街路、高速道路&郊外道、山道、そしてオフロードと、さまざまな道を走ってみてのトータルな印象だが、3ドアであることをさておいたとしても、クロスオーバーSUVのようなオールマイティな乗用車であることを期待しているユーザーにはまったくおススメできないクルマだった。

 これはジムニーシエラが悪いクルマという意味ではない。自動車工学の進歩によって快適性が大きく上がったとはいえ、ジムニーはひたすら悪路走破性を確保することに“全集中”したクルマであることに変わりはない。実際、その性能の高さは驚くべきものだが、日本では林業従事者や自然調査員、深雪地帯の住民など一部の人々以外にとっては完全にオーバースペックである。

後席の居住性は悪いが、座れないほど狭いわけではない

後席の居住性は悪いが、座れないほど狭いわけではない

バックドアは横開き式。荷室は手荷物を置く程度のスペースしかない

バックドアは横開き式。荷室は手荷物を置く程度のスペースしかない

 それと引き換えに生じる居住空間や荷室の狭さ、メカニカルノイズの大きさ、至れり尽くせりの快適装備やADAS(先進運転支援システム)の欠如、舗装された山岳路での安定性の低さ等々のデメリットは数多い。

 そのジムニーの特性をそのまま受け入れ、そういうクルマを転がしているのだということに喜びを覚えられるユーザーのみに勧められる。価格帯も目指す方向性もまるで違うが、およそ不必要な一点豪華主義の性能を持つクルマにさまざまな不便をおして敢えて乗るという点はスーパースポーツに通じるものがある。

ジムニーシエラの運転席周り

ジムニーシエラの運転席周り

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