「カレーは救いなんです」
──グルメという言葉が出ましたけれど、カレーって、ファンは世界中にいる一方で「グルメ」という言葉とはハマらない気もしますよね。
幸村「私の場合、舌が貧しいというのもあるんですが、あんまりグルメに走りすぎるのも、ある意味みっともないという気持ちもあるんです。もちろん食事は楽しく美味しく食べたほうがいいとは思うんですが、そのことだけに気持ちを割くのはあんまり得意じゃないですね」
椎名「大衆食だもんね。小学校のとき、3年生までは給食だったのかな。4年生からお弁当になったんだけど、クライスメイトにカレーを持ってくるヤツがいたな。前の日に家庭で余ったものをアルミの弁当箱に入れて、しっかり新聞紙に包んでくるんだけれど、今みたいにしっかり密閉されたものではないからどうしても染み出てきて、きれいとはいえないんだよ。でも、いい匂いがするし、たまらなくうまそうなんだよねえ」
幸村「匂いもそうですし、人が食べてたりすると食べたくなる食べ物の代表かもしれませんね」
椎名「そういう、人のカレーを羨ましいと思った人がタッパーを発明したんだろうな。相当、パテント料が入っているよ」
──そもそも椎名さんのいちばん好きなカレーってどんな感じですか?
椎名「普通のお母さんカレー。じゃがいも、人参、豚肉というカレー三役がしっかりゴロゴロ入っているやつ。この三役も人によって違うだろうけれど」
幸村「私は小さい頃から食が細くて偏食だったんです。気軽に食べられるものはカレーしかなくて。大人になっても、忙し過ぎるとご飯、味噌汁、おかずって順番に手が伸びないタイプで。でもカレーだとスプーンを(口と皿で)往復させれば考えなくても食べられるじゃないですか。私にとってカレーは救いなんです」
椎名「昔、あやしい探検隊でスリランカに行って(『あやしい探検隊 不思議島へ行く』(角川文庫)カレーを作ったんだけど、あれは思い出深いな。日本製カレーと本場のスリランカカレーと対決したんだよ」
幸村「向こうで作ったんですか?」
椎名「そう。民家と交渉して、編集者がコシヒカリ持ち込んで」