芸能

田中邦衛さん、消えた9年 『北の国から』とは異なる家族の真実

「まるで天使だった」の声が

「素顔の田中邦衛」とは?

 ドラマ『北の国から』では、大自然の中で家族と共に強く生き、本当の豊かさとは何かをわれわれに伝えてくれた。主人公・黒板五郎のように「無骨で人間臭い」、そんな人だと世間は思っていただろう。しかし、俳優業を離れたこの9年もの間、彼が見せていた「素顔の田中邦衛」は意外なものだった。

 神奈川県横浜市、海沿いの高台に建つ豪邸の一室に設けられた祭壇に、故人が生前受賞した数々の賞状が飾られている。その傍らには在りし日の写真が十数枚、“遺影”として並んでいた。優しい微笑みを向けているのは、3月24日に老衰のため亡くなった田中邦衛さん(享年88)だ。

 邦衛さんは、最期の日まで前向きに生きる気力と周囲への感謝を持ち続け、家族に見守られながら安らかに旅立ったという。「静かに見送ってほしい」。邦衛さんの希望により、家族が逝去を公にしたのは家族葬を済ませた10日後の4月2日のことだった。

 岐阜県出身の邦衛さんは麗澤短期大学在学中に演劇に興味を持つようになり、俳優座養成所の試験を2度受けたが不合格。中学の代用教員を経て、1955年、3度目の正直で合格した。

 1961年に映画『大学の若大将』で、加山雄三(83才)演じる主人公のライバル“青大将”を演じて一躍有名になり、高倉健さん(享年83)と共演した映画『網走番外地』シリーズ(1965年〜)や『仁義なき戦い』シリーズ(1973年~)など、数々のヒット映画に出演。ブルーリボン賞助演男優賞や、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞などさまざまな賞を受賞している。そして1981年にスタートしたテレビドラマ『北の国から』(フジテレビ系)で主役の黒板五郎を演じると、個性派俳優としての地位を不動のものとした。

 私生活では1963年に結婚、2人の娘にも恵まれた。公私共に順調だったが、邦衛さんが78才だった2010年に公開された映画『最後の忠臣蔵』を最後にメディア露出が途絶え、2012年の地井武男さん(享年70)の「お別れ会」に出席して以降は、表舞台から完全に姿を消していた。高齢になり、「長いセリフが覚えられなくなったため」と報じられたが、2015年にはさらに状況が悪化していた。

「夏頃に高熱を出して、2週間くらい入院したことがあったんです。そのときに寝たきりの生活が続いたことで、もともとよくなかった足の具合が悪化してしまったんです。それで、歩くことが困難になってしまった。在宅介護という選択肢もありましたが、家族で話し合って、リハビリを受けられる有料老人ホームに入居することにしたんです」(邦衛さんの知人)

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン