貴ノ岩は2018年冬巡業で、忘れ物をした付け人を殴ったことが発覚(時事通信フォト)

貴ノ岩は2018年冬巡業で、忘れ物をした付け人を殴ったことが発覚(時事通信フォト)

 藤島部屋のおかみだった藤田紀子(当時は花田憲子)さんが振り返る。

「息子が入門して大変なことはたくさんありました。親方(初代貴ノ花)も、稽古場で厳しく叱るのはまず我が子と決めていたようだし、おかみとしてのケアも、えこひいきしていると思われないよう、息子以外の力士たちに手厚くなければならなかった。そうしたなか、息子2人は稽古量が違いました。夜中に稽古場で音がするので見に行くと、黙々と四股を踏んでいたこともあった」

 兄である三代目若乃花とともに横綱となった貴乃花は、優勝22回を数える「平成の大横綱」となる。2003年に引退すると、その功績から一代年寄を襲名し、「貴乃花親方」となる。翌2004年には父の部屋を継いで「貴乃花部屋」が生まれた。そこからの歩みは、実に浮き沈みの激しいものだった。

「この部屋から横綱を出す」

 初代貴ノ花の藤島部屋は、1993年に初代若乃花が定年退職したことに伴い、“吸収合併”のかたちで二子山部屋となっていた。

「そもそも、この部屋を継ぐのは貴乃花親方ではなかったかもしれない」

 そう振り返るのは、当時の後援会幹部だ。

「当初、二子山親方は長男の(三代目)若乃花に部屋を継がせたかった。二子山部屋を後世に残し、次男の貴乃花は一代年寄として貴乃花部屋を興せばいいという考えでした。ところが、貴乃花の“洗脳騒動”などもあって、若貴兄弟の仲に亀裂が入り、2000年に若乃花が強引に廃業。貴乃花にすれば、部屋を出て独立するつもりが、自分が継ぐしかなくなってしまった」

 思い描いた船出とは違ったが、この頃の貴乃花親方は前を向いていた。2006年には本誌の取材に、「日々手探り状態で指導を続けている」としながらも、今後の夢を聞かれると、「貴乃花部屋から横綱を出すことに尽きます」と高らかに宣言。

 そのうえで、「部屋を継いでから5年以内に関取を出すと宣言したのですが、早くも2年が経ちました」というジリジリとした思いも口にした。

 結果的に、貴乃花部屋の“関取第一号”は2012年7月場所に十両へ昇進した貴ノ岩。部屋を継いで8年が経っていた。前出の後援会元幹部が語る。

「親方自身、中学卒業後に藤島部屋に入門したこともあり、高校に3年間通うくらいならすぐ角界に飛び込んだほうがいいという考えが基本だったと思う。部屋には相撲強豪の埼玉栄(貴景勝)や鳥取城北(貴ノ岩、貴健斗)出身者もいるが、基本的には中卒から預かる。貴源治と貴ノ富士も中卒での入門だった。関取の輩出まで8年かかったのは、そういったこだわりもあったためでしょう」

 弟子たちが少しずつ育ち始めるとともに、貴乃花親方は角界の改革にも動き出す。2010年2月の理事選の「貴の乱」だ。

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン