国内

五輪で強まったコロナの「楽観バイアス」 このまま社会的終息を迎えるのか

繁華街(東京・上野)の人出はコロナ前と変わらない状態に(撮影/内海裕之)

繁華街(東京・上野)の人出はコロナ前と変わらない状態に(撮影/内海裕之)

 新型コロナ第5波の感染拡大が止まらない。ワクチン接種がようやく進んできたが、デルタ株の蔓延もあり、新規感染者数の増加が続いている。緊急事態宣言発令中の東京では、五輪開催もあり、自粛のムードは一向に高まらない。この先コロナ禍はどう進んでしまうのか──。過去のパンデミックの例をもとに、ニッセイ基礎研究所・主席研究員の篠原拓也氏が説明する。

 * * *
 新型コロナウイルスの感染拡大は、ワクチン接種の進捗に応じて各国の違いが顕著になってきた。

 接種が進む欧米諸国では、感染の勢いは減じている一方、接種が進んでいない東南アジア諸国では、爆発的な感染がみられている。ただ、欧米では接種が完了した人が感染するケースもあり、本当にこのまま感染が収束するのか予断を許さない状況となっている。

 日本では、現役世代のワクチン接種が本格化している。しかし、それを上回る勢いで変異株であるデルタ株(インド型)が拡大しており、1日に1万人を超える新規感染者も珍しくなくなった。

 政府は、東京などに4回目の緊急事態宣言を発令しているが、人々に感染拡大防止に向けたメッセージは浸透していない。発令中にもかかわらず、現役世代、とくに若年者を中心に首都圏や関西圏など繁華街の人流は減らず、感染拡大に歯止めがかからない事態となっている。

 このまま進んでいくと、いったいコロナ禍はどうなってしまうのだろうか。今回は過去のパンデミック等を振り返りながら考えてみることにしたい。

人々にまん延する「楽観バイアス」

 そもそも、なぜ緊急事態宣言の効果が出にくくなっているのだろうか?

 コロナ禍が始まって、かれこれ1年以上が経つ。石鹸での手洗い、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの徹底、大人数での会食自粛……など、耳にタコができるほど感染予防策が言われてきた。多くの人がそれらを遵守している。現に真夏にもかかわらず、街中では人々のマスク着用が当たり前の光景となっている。

 それにもかかわらず、感染の波は何度も襲来し、それを追うようにして緊急事態宣言の発令と解除が繰り返されてきた。心理学の学者によると、人々に“宣言馴れ”が生じているとみられる。この宣言馴れは、コロナを軽く見てしまいがちな「楽観バイアス」につながるという。

関連記事

トピックス

お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト