「感染予防を強化すべき」と語る岡田晴恵・白鴎大教授

岡田晴恵・白鴎大教授

 総務省消防庁は1月23日までの1週間で救急患者の搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」が4950件あったと発表した。これは第5波の最中だった昨年8月中旬を上回って過去最多を更新している。

 昨年8月には、自宅療養していた千葉県の妊婦が入院の受け入れ先が見つからず自宅で出産、新生児が亡くなるという問題が起きた。国立成育医療研究センターなどの研究グループが昨年4月までのデータを分析した結果、新型コロナに感染した妊婦は酸素投与が必要な中等症以上になった割合が約10%で、同世代女性より症状が重くなる傾向があることがわかった。岡田氏が続ける。

「第6波のピークを迎えるなかで、こうした事態から目を背けずに、感染した妊婦さんを診る産科病院をホームページで広く公開するなど、第5波の教訓を生かすべきです。

 そして3回目ワクチン接種、検査の拡充、さらに患者が増えた場合の大規模集約医療施設の準備、抗ウイルス薬などの治療薬の確保を至急行なうべきです。私の言っていることは2年前から変わりません」

(了。第1回から読む

【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院修了後、順天堂大学で医学博士を取得。国立感染症研究所、ドイツ・マールブルク大学医学部ウイルス学研究所、経団連21世紀政策研究所などを経て、白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。テレビやラジオへの出演、専門書から児童書まで幅広い執筆などを通して感染症対策に関する情報を発信している。

※週刊ポスト2022年2月11日号

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