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山口組分裂抗争が最終局面に ナンバー2絶縁で神戸山口組が“若頭空位”の異常事態

抗争は最終局面に(六代目山口組の司忍組長/時事通信フォト)

抗争は最終局面に(六代目山口組の司忍組長/時事通信フォト)

 暴力団社会からの永久追放──。神戸山口組のトップが最も重い処分である「絶縁」を下したのは、分裂の首謀者のひとりであり、もっとも信頼を置いていたはずの腹心だった。日本最大の暴力団・山口組が分裂してから7年を迎え、最終局面に入りつつある。暴力団取材の第一人者であるフリーライター・鈴木智彦氏が深層を追った。

 * * *
 8月22日、神戸山口組の寺岡修若頭が、自ら率いる侠友会の幹部会を開催、集まった幹部・若い衆に、神戸山口組からの脱退を伝えた。奇しくもこの日は神戸山口組・井上邦雄組長の誕生日だった。偶然にしてもドラマチックだ。

 寺岡若頭は山口組分裂の首謀者のひとりで、神戸側のナンバー2である。若頭は疑似血縁制度の長男に当たるが、六代目山口組時代から井上組長にとって実質、女房役に近かったろう。かけがえのないバディはなぜ神戸山口組を去ったのか。7年前に裏切り者の汚名を着てもかまわぬと決意し、人生を懸けて船出した箱船ではなかったか。

 翌日、神戸山口組は即座に寺岡若頭を絶縁した。同時に寺岡若頭に追従したとみられる2人も絶縁となった。山口組分裂抗争では制裁としての破門・絶縁処分が乱用され続け、当事者もまた処分を完全無視で自由に組織を鞍替えしている。盃の絶対性は皆無で、もはや破門とそれ以上の処分でもある絶縁は右手で殴ったか、左手で殴ったか程度の違いしかない。それでも井上組長はより重い絶縁処分を選んだ。8月31日時点で神戸山口組が新しい若頭を選んだという話は入ってこず、ナンバー2不在という異常事態は続いている。

 神戸山口組はなぜナンバー2を絶縁したのか?

 騒動の背景には井上組長の引退・抗争終結工作がある。

友好団体も相次いで見切り

 山口組の分裂抗争は、かなり前から抗争の体をなしていない。井上組長の周辺や六代目山口組トップクラスの警備は堅いが、末端組員たちは、どこを見渡してもまるで緊張していない。そもそも抗争は暴力事件が発生し、報復が連鎖する状態を指す。しかし六代目山口組がいくら事件を起こしても、神戸山口組が報復しないので抗争にならない。

 暴力団たちも、山口組分裂抗争は実質、終戦処理に突入したとみている。それは神戸山口組の旗揚げ後、六代目山口組と縁を切って歩調を合わせた友好団体の動きにはっきりと現われている。

 京都の会津小鉄会は、2017年2月、山口組分裂の煽りを食らって分裂した。神戸山口組と近い金子利典会長と、六代目山口組が後見する原田昇会長が、共に「七代目会津小鉄会」を名乗る異常事態だった。騒動は去年1月に両派が合併、六代目山口組との関係を修復して終息した。神戸山口組の最大派閥・山健組が離脱した半年後だった。

 大阪の老舗組織である酒梅組は九代目吉村光男組長が井上組長と昵懇だった。酒梅組は山口組分裂後、六代目山口組の高山清司若頭による後見を辞退し、親戚縁組を解消して神戸山口組と並走した。山健組組員2人が神戸市花隈の事務所近くで銃殺された夜も、井上組長は吉村九代目と一緒に姿を見せた。

 吉村九代目は、昨年1月、現金返済のトラブルで懲役3年の実刑となった際、電撃引退して下獄した。潮時と見切ったのだろう。十代目体制では六代目山口組の大幹部が後見となった。

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