1967年製のマツダのコスモスポーツ。コスモスポーツは1967~1972年に製造された(時事通信フォト)

1967年製のマツダのコスモスポーツ。コスモスポーツは1967~1972年に製造された(時事通信フォト)

 この「走行距離税」、2022年10月26日の内閣府、税制調査会において提案されたのが発端である。車の走行距離に応じて課税、簡単に言えば走れば走るほど税金を払う仕組みである。

 無料の駅前駐車場から愛犬を降ろしてコンコース上を散歩している女性に話を聞いた。

「それは困ります。他にも車(ガソリン車)を持っていますから税金(自動車税)は高いし車検も出したばかりです。ガソリン代だって高いのに、走れば走るほど税金ってねえ」

 彼女の車を見ればハイブリッド車、今回の走行距離税はいわゆるEV(ハイブリッド車や電気自動車による)ガソリン税の減収を見越した新税とされているが、実際は車種関係なく「走行距離に応じて課税する」という話もあり、つまり既存のガソリン車、ディーゼル車も含めた話になっている。というかこれまでの自動車税の悪癖を鑑みるなら、今回も全部ひっくるめての話、となってしまうのだろう。また彼女のように複数台持つというのは地方ではごく当たり前の話で、すべてEVというわけにもいかない。

 駅までも子どもを迎えに来たという男性に話を聞く。駅前は小さな公園のような形で整備され、ロータリーの一部を挟んで駅前唯一のスーパーがあるためここに来る地元の方が多いという。電車やバスを使うのは児童と一部の高齢者のみといった感じだ。

「仕事でも使うので距離で税金を取られたら大変なことになるよ。ただでさえ俺の車は古いから税金が高いんだ。大事に乗っているだけなのに、罰金みたいなもんだよ」

 自慢の愛車だというので見せてもらったが渋い1980年代の国産スポーツカー、現在の日本では税金の高くなる、まさしく罰金対象だ。ガソリン車で新車新規登録から13年超、ディーゼル車で11年超の車両(自家用)は自動車税が約15%上乗せされる。軽自動車も13年超で約20%の自動車税が上乗せされる。政府によれば古い車は環境負荷が大きくエコではない、という理由だそうだ。

「どんどん書いてよ、大切にすると罰金なんておかしいって」

 だんだん本気で怒り始めたが無理もない。この国では我が国が誇るトヨタ2000GTもハコスカ(日産スカイラインC10系)も、マツダのコスモスポーツも長く乗っていれば「エコでない」として罰金だ。これについてはJAF(日本自動車連盟)も「使用実態を顧みない一律の重課は合理性・公平性を欠く」と批判している。

「そりゃそうだよ。好きで大事にしてるのもいれば、仕方なくお金がなくて乗ってるのもいる。むしろ古い車を大事に乗っててエコだろうよ」

 まったく同意見である。以前、旧車のオーナーズクラブの仲間たちともこの話になったが、その時も「罰金」呼ばわりだった。

「自動車で食ってる国なのにおかしな話だよな」

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