“対抗馬”は河野太郎・消費者相という見方も強い(時事通信フォト)

“対抗馬”は河野太郎・消費者相という見方も強い(時事通信フォト)

菅には渡さない

「静」の菅氏に対して、「動」が麻生氏だ。今年82歳の麻生氏は11月2日から財界人を引き連れて韓国を訪問。麻生氏には実家の麻生炭鉱の戦前の強制連行問題で韓国側から批判された経緯があるが、岸田首相より先に尹錫悦・大統領と会談してその「元徴用工」問題で意見交換し、健在ぶりを見せつけた。

 麻生側近は、「80歳のバイデン米国大統領は2年後の大統領選出馬の意向を示している。麻生さんも、岸田政権に何かあれば、“その時はオレしかいない”と心中期するものがある」と見ている。

 麻生氏を長年取材してきた政治ジャーナリスト・藤本順一氏も「麻生出馬」はあり得ると語る。

「麻生さんはまだやり残したことがあると考えている。一つが日韓関係の改善です。麻生さんは議員になる前のJC(日本青年会議所)会頭時代から、韓国財界の若手と交流を持ち、日韓関係の修復に取り組んできた長い経緯がある。日韓関係に対する思いは強い。安倍政権時代はさすがに関係修復は無理だったが、いまこそという意識がある。

 置かれている状況も再登板の障害にはならない。後継者の長男・将豊氏は今年10月にJC次期会頭への就任が決まった。任期は1年だが次の年は顧問を務めることになるから、少なくとも2年間は総選挙があっても地盤を継ぐことができない。引退は早くてもその後ですから、総理再登板はできる。

 自分が総裁選に出馬すれば、麻生派の結束も保てる。岸田首相の退陣が見えてくればライバルの菅さんが主導権を取りに来るでしょうから、麻生さんとすれば、菅さんには渡さないという意地があるはずです」

 岸田首相が「いよいよ」になれば、菅コールが起きる前に、首相の後見人のはずの麻生氏が“オレに代われ”と岸田降ろしにかかるかもしれない。

 だが、次期総理の座をめぐって、キングメーカーの2人が権力欲むき出しで角突き合わせれば、もう一人のキングメーカーである“令和の妖怪”こと二階俊博・元幹事長が黙って見ているはずがない。

 二階氏は11月初めにコロナに感染し、一時は“死亡説”まで流れたが、和歌山県知事選(11月27日投票)に自ら擁立した候補の応援に登場してノーマスクで演説し、健康不安説を打ち消して見せた。

 二階氏は菅政権末期の「二階外し構想」で菅氏との関係が悪化したが、岸田政権になると2人は「反主流派連合」を組んで元の鞘に収まっている。

「菅さんの再登板は二階さんにとっても復権の絶好のチャンス。ポスト安倍の総裁選で菅さんを担ぎ出したときのように、二階さんが『あんたがまたやればいい』と菅さんの背中を押せば、数で麻生さんに負けることはない」(二階派の大臣経験者)

「無策」の岸田退陣の次の舞台は、自民党の三長老が幅を利かせる国民ガッカリの“老害”総裁選になりそうだ。

※週刊ポスト2022年12月9日号

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン