2017年、北朝鮮を訪問した猪木さんと田鶴子さん(写真/共同通信社)

2017年、北朝鮮を訪問した猪木さんと田鶴子さん(写真/共同通信社)

A子はNOと言ったので、納骨はないです

 前出の猪木家の知人が語る。

「猪木さんは、当初は青森のお墓で田鶴子さんとともに眠りたいと思っていた。しかし、青森はあまりにも遠く、冬は雪に閉ざされてしまう。彼は親族やファンのことを考え、亡くなる直前に『神奈川の總持寺と青森の墓に分骨してほしい』と希望しました。この願いは、猪木さんの口から弟の啓介さんと温泉宿のオーナーに伝えられました」

 總持寺にもまた、「猪木家の墓」がある。4度の結婚を経験した猪木さんと、最初の妻の間に生まれ、早逝した娘も眠っている。最初の妻は海外修行中に出会ったスペイン系アメリカ人だった。

「修行後、一緒に日本に帰国し1965年に結婚。娘さんが生まれましたが、慣れない土地での夫婦関係はうまくいかず、1968年に妻がアメリカに帰ってしまった。娘さんは8才のとき、小児がんで突然亡くなりました。猪木さんは、最初の娘さんのことが話に出るたびに『何もしてやれなかった』と涙を浮かべていました」(前出・猪木家の知人)

 その後、猪木さんは1971年に女優・倍賞美津子(76才)と再婚する。結婚して3年目に生まれたのがA子さんだった。

「生前、猪木さんは『A子がいちばん怖い』と口にすることがありました。言い換えれば、それだけA子さんを大事にしていて、彼女の言うことならおとなしく聞いていたんです」(芸能関係者)

 猪木さんの死後、通夜が営まれるまで2週間を要したのも、アメリカで暮らすA子さんの帰国を待ったからだった。

「コロナ禍でスムーズに帰国できず、すぐに遺体と対面できませんでした。周囲は“骨になる前に猪木さんはA子さんに会いたいだろう”と、通夜を遅らせました」(前出・芸能関係者)

 結婚当時、猪木さんと倍賞は日本のスーパースターと人気女優。芸能界でも指折りの大物カップルだったが1988年に離婚した。翌年、猪木さんは22才年下の一般女性と3度目の結婚をする。しかし、その婚姻関係のさなか出会ったのが、当時カメラマンとして働き、バー経営なども手がけていた田鶴子さんだった。間もなくして3番目の妻と離婚が成立すると、田鶴子さんとの事実婚関係が始まった。

「糖尿病で苦しんでいた猪木さんの面倒を、ひとりで見てきたのが田鶴子さんでした。彼女は小さな手でいつも猪木さんの痛む体をさすっていました」(前出・芸能関係者)

 一方で、猪木さんは倍賞とも良好な関係を取り戻していた。きっかけは2002年、新日本プロレスの30周年記念イベントに倍賞が登場したことだった。倍賞はライトを浴びながら花道を歩き、リングに上がった。

「離婚以来、十数年ぶりの再会でした。時間とともにわだかまりも解け、猪木さんが倍賞さんのことを“戦友”と表現することもありました」(前出・芸能関係者)

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