男勝りに戦う巴御前も和田義盛の前ではしとやかに振る舞う。二面性の裏にある葛藤は秋元さんご本人の中にもあるのかもしれない。
「『国民の映画』に出ているころ、出演者の皆さんとNHKの朝ドラとか大河ドラマの話をしていたんです。当時25歳の生意気ざかりだった私は、“自分が出てなくて悔しいから私は見ないんです”って言っちゃって。それが三谷さんには印象的だったらしく、『秋元さんは朝ドラっぽくないけど、大河だったら可能性はあるんじゃないですか』っておっしゃったんですよね。実はそれがずっと頭の中にあったんです。そして今回の『鎌倉殿の13人』に……なんだか不思議ですね」
『鎌倉殿の13人』では、出演者一人ひとりの退場シーンが話題になっている。秋元さん演じる巴御前は第41話だった。馬上でフル装備の甲冑をつけ、右手に大薙刀を持ち「我こそは忠臣・和田義盛の妻・巴なるぞ!」と言ってのける。
「あんな素敵な退場シーンを書いてくださって、演じている私自身もすごく嬉しかったし、感謝の思いでいっぱいです。小栗旬さんとか山本耕史さんとか男性陣が“このシーン羨ましい”とか“主役級の去り方だよ”って言ってくださって、それを女性の私にやらせるのも三谷さんの凄いところだと思います。
撮影の前も男性陣が寄ってたかって“ああしたらいいじゃないか”“こうしたらいいんじゃないか”って、すごいいっぱいアドバイスをくれるんですけど、山本耕史さんなんか“薙刀を片手でもってガンガン首を狩りまくれ”とかって言うんですよ。でも私、一応私女だし、肩や腕の筋力も足りないから……好き勝手言うなよ、みたいな思いではありました(笑)」