ライフ

迫る南海トラフ巨大地震の危機 専門家が警鐘を鳴らす、2023年に警戒すべき「5つのエリア」

右から火山や地震の専門家である京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏、東海大学客員教授の長尾年恭氏、東京工業大学教授の中島淳一氏

右から火山や地震の専門家である京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏、東海大学客員教授の長尾年恭氏、東京工業大学教授の中島淳一氏

 地震大国・日本に今、「南海トラフ巨大地震」や「火山噴火」の危機が迫っている。火山や地震の専門家である京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏、東海大学客員教授の長尾年恭氏、東京工業大学教授の中島淳一氏が、特に警戒すべきエリアについて語り合った。

 * * *
鎌田:私の専門は地球科学・火山学ですが、「南海トラフ巨大地震」をはじめとする地震の研究もしているため、日本で発生する地震を日々ウォッチしています。2022年は茨城で4月にマグニチュード(M)5.4、6月にM6.0。11月には千葉でM5.0と関東で地震が相次いだ印象です。どう捉えていますか?

長尾:私が会長を務める「日本地震予知学会」をはじめとする地震学者の間では、千葉県北西部や茨城県南西部のエリアは“地震の巣”と呼ばれています。東京で発生する年30回程度の(揺れを感じる)有感地震の多くが、同エリアの地下50~100km程度の比較的深いところを震源としています。2023年以降も千葉県北西部や茨城県南西部では、M5以上の地震が起こると考えられます。

中島:私も同意見です。2022年は同エリア以外にも、山梨県東部でも地震活動がやや活発だったので注視しています。

長尾:千葉県北西部について1つ補足します。新聞報道で比較すると、約20年前の地震では水道管被害が2か所だったのに対し、近年の地震では30か所以上で報告されました。つまり、揺れは同じでもインフラの老朽化により首都圏の被害が増えることが予想される。これは大きな懸念事項です。

中島:関東以外だと2020年12月から群発地震(※比較的狭い震源域で断続的に地震が多発する現象)が頻繁に起きている能登半島では2022年6月にM5.4の地震が発生しました。東工大の私の研究室(地震学)で地震波のデータを解析したところ、非火山地域の能登半島の地下に、断層を滑らせる流体(=水など)が多く存在していることがわかりました。2022年6月の地震も、2007年「能登半島地震」(M6.9)も、流体の存在が原因であると推測できます。

鎌田:群発地震といえば、1965年に長野県で発生した「松代群発地震」(最大M5.4)が想起されます。松代は5年半続きましたが能登はどうでしょうか?

中島:確かに近いイメージです。長期化するかどうかはまだ不透明ですが、2022年の11月末から先端の北西側だけでなく南東側でも小さな地震が起こり始めている。そういった変化もあるので能登半島は2023年以降も注視していくべきでしょう。

長尾:能登半島に関しては、私も気になる点があります。1993年の「能登半島沖地震」(M6.6)、先程の2007年「能登半島地震」の震源分布を詳細に見ると、海岸線に沿って大きな断層が隠れているように見えます。今回の群発地震に誘発されて、ここでM7クラスの活断層型地震が起こる可能性が高いと考えられます。地震予知研究のグループでも、近い将来、能登半島内陸で非常に大きな地震が起きるのではと警戒し、観測網の強化を進めています。

関連記事

トピックス

『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン