スポーツ

秋田・能代松陽、山口・光…WBC世界一の“裏番組”で輝いていた甲子園球児たちの記録

能代松陽・森岡の力投が印象に残った(写真は3月28日の大阪桐蔭戦のもの。時事通信フォト)

能代松陽・森岡の力投が印象に残った(写真は3月28日の大阪桐蔭戦のもの。時事通信フォト)

 山梨学院の県勢初優勝で幕を閉じた95回目のセンバツは、前半戦がWBCの決勝ラウンドと日程が重なり、侍ジャパンが2009年以来となる2度目の世界一の快挙を達成してからもしばらく話題を独占したため、どうしても隅に追いやられてしまった感は否めない。開会式から甲子園には空席が目立ち、大阪桐蔭や報徳学園(兵庫)など地元の人気校が登場しても1万人しか入らなかった試合があった。決勝こそ3万人の観衆を集めたが、大会を通じて客入りは低調だったといえる。

 とはいえダルビッシュ有や大谷翔平ら、甲子園球場から世界へ羽ばたいていった怪物の活躍の裏で、聖地できら星のような輝きを放った球児たちがいた。

 まずはWBCの準決勝が行われた3月21日。WBC準決勝のプレイボールから1時間後の午前9時にスタートしたのが「石橋(栃木)対能代松陽(秋田)」だ。テレビ中継のド真ん中に映る、野球に励む子供達を招待した「ドリームシート」にも空席が目立つなかで、真っさらな1回表のマウンドに上がったのが能代松陽のMAX144キロ右腕・森岡大智だった。

 21世紀枠で選出された石橋を相手に、身長184センチの大柄な右腕が許した安打は内野安打ふたつだけ。正確無比なコントロールで四球もなく、12個の三振と凡打の山を築いて完封した。展開が早く試合が終わったのは10時51分であり、海の向こうではまだ日本がメキシコに0対3とリードを許していた(ちなみに村上宗隆のサヨナラ打が生まれたのは第2試合の長崎日大対龍谷大平安の2回だった)。

 WBCの“裏番組”開催から一転して、3月28日の3回戦では優勝候補の大阪桐蔭と対戦し、テレビ中継でも注目の的に。7回にスクイズによって1点を先制され、0対1と惜敗したものの、横綱を相手に5回まで無安打投球を続け、「被安打2」の内容はさぞや満足だろう――。そう思って話を聞いたのだが、どうも本人は浮かない表情だ。

「石橋高校さんとやった時よりも、コントロールが悪く、球もいっていなかった。調子的には、良くなかったです。7回に先頭打者にスリーベースを打たれてしまったことが悔しい。(スクイズの場面は)打ってくると思っていた。もっと対策できた」

 全国から有望選手が集まる大阪桐蔭のアイボリーのユニフォームを前にしても萎縮することはなかった。

「負けたら高校野球が終わるぐらいの気持ちで臨みました。実際は夏がありますが、これで高校野球が終わると思ったら、悔しさがこみ上げてくる。去年の東北大会では、1点差で仙台育英(宮城)に負けて、今日も大阪桐蔭に1点差で負けてしまったということは、自分が無失点に抑えたら、どんな学校が相手でも勝てるということを表していると思う。夏はすべての試合を完封して、日本一になりたい」

 もう一度聖地でのピッチングを見たいと強く思わせる投手だった。

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン