1989年の司会の武田鉄矢と三田佳子(共同通信社)

1989年の司会の武田鉄矢さんと三田佳子さん(共同通信社)

 自分でもわかるんですが、年をとると喋り手として切れ味が落ちます。言い間違えもします。ガーシーについて、決してかばったつもりはないんですよ(編注/「人の悪口を言っただけ」などの番組内での発言がガーシー擁護と炎上した)。私だってネットで叩かれたら、落ち込んだりもします。でも、若い人と一緒にやっていたら、年齢や価値観も違いますから、つらいこともあるのが当たり前なんだと思っています。

 だから「若い人には温かい目で見てほしい」とは思いませんが、こっちだって老いを一生懸命、修行しているんです。邪魔かもしれませんが、お互い、少なくとも同じ時代を生きて人生修行している同志。人それぞれの事情で、発言したり行動したりしているんだってことをわかってもらえるとありがたいですね。

「若者が年寄りをやっつけるのは痛快でしょう?」

 私がコメンテーターの仕事を始めたのは『ワイドナショー』が初めてです。ある知人からダウンタウンの松本人志さんが私のことを知りたがっている、と。それで、お役に立てれば、と思いお引き受けしました。私としても、松本さんは喋り手として力量がありますから、共演して彼のしゃべりを間近で聞くのは勉強になるな、と思ったんです。でも先日、急に番組を脱出して(編注:3月末で降板)、私たちは捨てられてしまいましたが(笑)。

 私は松本さんからなぜ降板するのか、といった話を直接聞いたりはしておりませんが、番組最後の出演回で話していたとおりでしょう。ネットニュースで一部だけを切り取られて報じられるのが嫌だったんだと思います。彼は番組で取り上げた話題を、たとえば落語の“三題噺”のように、3つのテーマをうまく1つにまとめて、きれいなオチをつける。なのに、その一部だけを切り取られるのはすごくストレスだったのでしょう。

 私が思うのは、『ワイドナショー』という番組ショーのなかでは、誰かがやっつけられる立場でいないといけない。ドラマや映画でいえば悪役。だから、その役は年寄りの私が、というわけです。若者が年寄りをやっつけるのは痛快でしょう? とくに、相手が金八先生だったら、よりそう思うじゃないですか。

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