「名古屋の御園座で舞台『魔術の女王 天勝物語』の公演中、花道を歩いていたら何が何だかわからなくなって、倒れてしまったんです。それで舞台の幕を下ろし、私は病院へ運ばれ緊急手術。お客さまにお金をお返しして帰っていただき、劇場、スタッフ、共演者、みんなに迷惑をかけてしまい、本当に心苦しくて、こんなつらい思いは初めてでした」
3時間に及ぶ緊急手術を受けて、一命を取り留めた若林さん。健康だった若林さんの身体を突如、襲った慢性硬膜下血腫の原因は何だったのだろうか。
「はっきりとはわかりません。舞台の1か月ほど前に車に乗っていて追突事故に遭ったのでそれかもしれないし、本番1週間ほど前に散歩中、桜の木にぶつかったことがあったので、それかもわからない。舞台の稽古に入っていましたから、セリフを覚えながら歩いていたんでしょう。桜の木に激突したときは意識がぼうっとして家への帰り道がわからなくなり、しばらくその場に座って休んでいたほど。1時間ほどしたら思い出し、立ち上がって帰宅したんですよ」
慢性硬膜下血腫は高齢男性に多い病だったが、幸いにも後遺症は残らなかった。
「術後2週間で退院し、幸い、その後のリハビリはたいして必要ではありませんでした。『軽く運動はしてください』と言われたので、ウォーキングをして徐々に慣らしていきました。1か月後に同公演の東京・明治座での公演が決まっていたので、そこで復帰。『無理はいけない』と言われていたのですが、みなさんに申し訳なくて、ちょっと無理をしてしまいました。でも、再発はありませんでしたよ」
以前は肩幅が広く、かっこよくスーツを着こなす紳士だった若林さんだが、かなり痩せたように見えるのは病のためだろうか。