スポーツ

大相撲「幕下付け出しデビュー」基準の変更、有望株をかき集める元横綱・白鵬への牽制か

“スカウト力”も高い元横綱・白鵬(時事通信フォト)

“スカウト力”も高い元横綱・白鵬(時事通信フォト)

 9月28日、日本相撲協会の理事会が両国国技館で開催された。行司の最高位である「木村庄之助」が8年10か月ぶりに復活することが決まったほか、力士志望者に実施する新弟子検査で167センチ以上、67キロ以上という体格基準が事実上撤廃される新ルールも決まった。そして、同じ理事会での決定のなかでも興味深いのが「幕下付け出し制度」の変更だ。

 これまで、アマ横綱(全日本相撲選手権優勝)、学生横綱(全国学生相撲選手権個人戦優勝者)、実業団横綱(全日本実業団相撲選手権優勝)、国体横綱(国体成年の部優勝)に与えられていた幕下10枚目格、幕下15枚目格の付け出し資格が、この日限りで廃止された。相撲担当記者が言う。

「実業団選手権は付け出し基準の対象外となり、残りの3大会でベスト8以上の成績を残せば一律に幕下最下位格、ベスト16以上なら三段目最下位格の付け出し資格が与えられるルールに変更されました。また、高校生の大会も対象に加わり、全国高校総体と国体少年の部でベスト4以上になれば三段目最下位格付け出し資格を得られるようになった。

 これにより、今年1月場所で幕下15枚目格デビューして7戦全勝した宮城野部屋の落合(現・伯桜鵬)のように、『1場所で十両に昇進』といったケースは事実上、起こり得なくなりました」

 背景には、大卒の“学生力士”を厚遇してばかりでいいのか、という関係者の問題意識がありそうだ。若手親方はこう語る。

「強豪の大学相撲部ではより多くの部員が幕下付け出し資格を得られるように、部員同士でのタイトルの譲り合いが横行しているという話まである。そうして付け出し資格を得て入門した学生力士が1年以内に十両に昇進するケースが増えたことで、“学生力士が着物の畳み方を知らない”“ちゃんこ番を経験していない”といった批判が出ていた。

 しかも学生力士が入門するのは特定の金満部屋、あるいは大学OBが親方をする部屋などに限られるようになった。そうして関取が特定の部屋に集中するようになったことも、今回の変更と無関係ではないでしょう。東西各60枚ある幕下の最下位格付け出しからのスタートなら、簡単には関取になれない」

関連キーワード

関連記事

トピックス

現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《巨人V9の真実》400勝投手・金田正一氏が語っていた「長嶋茂雄のすごいところ」 国鉄から移籍当初は「体の硬さ」に驚くも、トレーニングもケアも「やり始めたら半端じゃない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
フランクリン・D・ルーズベルト元大統領(写真中央)
【佐藤優氏×片山杜秀氏・知の巨人対談「昭和100年史」】戦後の日米関係を形作った「占領軍による統治」と「安保闘争」を振り返る
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト
『あんぱん』の「朝田三姉妹」を起用するCMが激増
今田美桜、河合優実、原菜乃華『あんぱん』朝田三姉妹が席巻中 CM界の優等生として活躍する朝ドラヒロインたち
女性セブン