ご一家で会話をされながら展示を鑑賞された(11月、東京・台東区。写真/JMPA)

ご一家で会話をされながら展示を鑑賞された(11月、東京・台東区。写真/JMPA)

皇室に運命を翻弄される

 昨年3月に行われた成年に際する記者会見でも、愛子さまは源氏物語への興味関心を明かされた。別の宮内庁関係者の話。

「愛子さまの平安文化への関心には、陛下の影響があるでしょう。陛下は、2019年3月まで約27年間、学習院大学史料館客員研究員の委嘱を受けられ、平安時代の貴族が使用した『牛車』について研究されており、平安文化に造詣が深い。また、天皇ご一家は、愛子さまが幼い頃から百人一首に取り組まれてきた。愛子さまが平安文化に興味を持たれるのはある意味必然ともいえます」

 実は愛子さまには、学習院女子中等科時代、学内で行われた百人一首大会で100枚中約40枚をおひとりで取られ、圧勝された過去がある。高等科では、源氏物語へのご興味が本格化。3年次には、古文の授業の一環で、源氏物語の「末摘花」の巻についてグループ発表をされた。ちなみに、末摘花は光源氏が彼女につけたあだ名で、源氏物語のなかでは珍しく、容姿が不美人であることが描写されている。

「愛子さまはグループの中心として自ら発表をされました。担当は、最も理解力が要求される文法事項でした。また、高等科の卒業にあたっては、源氏物語、枕草子、宇治拾遺物語などの平安文学を読み込み、『平安時代の猫と犬 ─文学作品を通して─』というレポートを執筆された。基準とされていた400字詰めの原稿用紙30枚以上の倍近い文字数でレポートを提出されたそうです」(前出・皇室記者)

 大学でも、継続的に源氏物語の研究を続けてこられた愛子さま。放送作家のつげのり子さんが、愛子さまが源氏物語に強い関心を持たれている理由を拝察する。

「源氏物語はフィクションです。とはいえ、天皇家の長子である愛子さまにとって、自らの祖先が平安時代にどのように描かれたのか、また、後世でどのように解釈されたのかという研究は、当事者として大変興味深いのではないでしょうか。

 いまの皇室との共通点や相違点も、愛子さまだからこそ実感があるでしょう。また、皇室が文化的にどのような役割を担ってきたのか、どのように存続してきたのかを愛子さまならではの視点で研究されることは、皇室の将来のためにもなります」

 愛子さまは天皇家の長子である。一方で、現状の皇室典範では、結婚とともに皇室を出なければならない女性皇族という非常に不安定なお立場でもある。

「光源氏をはじめとした皇室の人間に運命を翻弄される、物語中の女性にも共感を覚える場面があるのではないでしょうか。また、源氏物語では、往々にして皇族の悲恋が描かれます。悲恋が手を替え品を替え繰り返されるやるせなさは、人間の業と言い換えてもいいかもしれません。

 愛子さまは、いまの不安定なご自身のお立場を自覚され、受け入れられているのでしょう。だからこそ、源氏物語の登場人物に自らを投影されるように親近感をもたれ、研究に没頭されているのではないでしょうか」(前出・皇室記者)

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