雅子さまのご体調は上向きだという(写真/宮内庁提供)
女性皇族が皇室に残る画期的な案
女性皇族である愛子さまは、現行の皇室典範に則ると、結婚されれば皇室を離れることになる。ところが、いざ愛子さまが皇室を離れるとなると、現在の皇室が抱える複数の問題が顕在化することになる。
ひとつめは、公務の担い手が失われるということだ。愛子さまと同世代の皇族は、愛子さまと同じく結婚と同時に皇室を離れることになる佳子さまと、悠仁さましかおらず、将来的に、悠仁さまおひとりに負担が集中する。もうひとつは、皇位継承者の不在だ。現在の皇室において皇位継承資格を有しているのは、秋篠宮さま、悠仁さま、常陸宮さましかいない。
「愛子さまは天皇の血筋を父親から受け継がれた『男系』の女子です。母親から受け継ぐ『女系』の天皇実現には根強い反対がありますが、実は、『男系女子』である女性天皇の実現に賛成する声は多く、国民の8割が賛成という世論調査もあります。もちろん、念頭にあるのは愛子さまの存在でしょう。『愛子天皇』実現の可能性については、たびたび議論がなされています」(皇室ジャーナリスト)
つまり、公務のための「皇族数の確保」および「安定的な皇位継承」は、愛子さまのご結婚前に結論を急ぐべき、皇室の喫緊の課題なのだ。2004年、当時の小泉政権時から問題視はされてきたものの、長年、具体的な進展はなかった。徐々に風向きが変わったのは、昨年、岸田首相が議論の必要性を訴え始めてからだ。
「下がり続ける支持率に焦りを感じたのか、11月、岸田首相は自民党内に『安定的な皇位継承の確保に関する懇談会』を新たに設置し、初会合を開きました。三笠宮信子さまの兄で、自民党内随一の調整力を持つ麻生太郎氏を会長に据えたことからも本気度がうかがえます。
12月には、女性天皇実現や、女性皇族が結婚後に新しい宮家を創設して皇室に残る『女性宮家』案に反対の議員を多く擁した安倍派が、政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑で崩壊寸前。はからずも、かつてないほど女性皇族に関する議論が進めやすい状況になり、昨年末、結論の方向性が決まったといいます」(全国紙政治部記者)
「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」が、「内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること」、「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること」という2案を併記し見解とする方向で、調整に入ったことが報じられたのだ。
「両案併記が現実的な落とし所という判断なのでしょう。それでも、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することが認められることは、大変画期的です。この案を基に、皇室典範が改正されれば、愛子さまは『生涯皇族』のお立場ということになります」(前出・皇室ジャーナリスト)
皇室典範の改正は政治と切っても切り離せない関係にあるが、愛子さまご本人の意向をまったく無視して進めることは難しいだろう。
「懇談会には、愛子さまが人生の節目を迎えられる前に結論を出すべきだという危機感があったのでしょう。そして、愛子さまが皇族として一生を全うされることに一片の迷いもないというコンセンサスが取れているからこそ、これまででは考えられないスピード感で、方向性が定まったのではないでしょうか」(前出・全国紙政治部記者)
振り返れば、2022年、愛子さまは成年に際する会見で「これからも長く一緒に時間を過ごせますように」という言葉を両陛下に送りたいと語られていた。
「愛子さまはご自身のお立場を肯定的に受け止められています。議論が進まず、将来が不透明ななかでも、皇室に残る心の準備をされていたでしょう。その背景には、雅子さまを支えたいという思いがあるはずです。成年されてからは、雅子さまに対して“私はこう思う”“そうではなくてね”とご自身の意見を伝えられることもあるそうですよ。
大学生の現在は学業優先とされていますが、ご卒業後、大学院に進学されれば、公務やお出ましの機会は増えるのではないでしょうか。天皇家の長子である愛子さまには、両陛下とともにご活躍されてほしいですね」(前出・皇室ジャーナリスト)
ついに山が動いた。
※女性セブン2024年1月18・25日号