スポーツ

水原一平氏はなぜ“違法賭博”で6億8000万円の借金を負ってしまったのか? 元ギャンブル依存症の女性記者が綴る「ギャンブル沼にハマる分岐点」

パドレスとの開幕戦で、試合を見る水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)

パドレスとの開幕戦で、試合を見る水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)

 大リーグ、ドジャース・大谷翔平選手(29才)の通訳・水原一平氏(39才)が、違法賭博でドジャースを解雇された。米スポーツ専門テレビ局「ESPN」によると、水原氏の借金は約6億8000万円。水原氏は選手の前で「自分はギャンブル依存症だ」と告白したという。なぜ「大谷翔平の専属通訳」という約束されたポジションがありながら、支払えないほど借金が膨らむまでギャンブルを続けてしまったのか? 元ギャンブル依存症というライターの野原広子氏が自身の体験を元に分析する。

 * * *
「いいコンビだと思ってたんだけどなぁ」というため息が日本中から、いや、地球規模で吐き出された1週間だったと思う。

 もちろん私もそう。実は私、昨年秋、大谷翔平さんが花巻東高校時代に作ったというマンダラチャートを『女性セブン』の企画で作成しているの。大谷さんは大リーガーになるためで、私の目標は豊かな老後のために何をすべきか。まぁ、横に並べるのもどうかだけどアラカンも半分すぎて下り坂を降りている私には笑い事じゃない。と、その時は大まじめだったのよ。

 が、言うはやすし。「ダイエット」をするためには「甘味を控える」の一項目ですら、あっという間に見て見ぬふりよ。そんな自分に嫌気がさして、初心に戻ろうとマンダラチャートを見直したのも最初の1、2か月でね。あとはご想像通りで今日に至る。

 そうなんだよね。こんな小さなことだって私は「大谷さん」になれないけれど大リーガーの隣でニコニコ笑っている水原一平さんになら心を寄せられるような気がする。特にエンゼルス時代の兜パフォーマンスやレッドカーペットを並んで歩いたときなどは、「オレ、オレがこれやるんすか?」というハニカミが全身から発せられていて、まあ、感じいいのなんの。ひいては彼に通訳兼秘書兼、付き人兼、キャッチボールの相手役をさせている大谷選手の好感度もさらに上がる。こんな微笑ましい光景が、大谷選手が大リーガーである限り続くと信じて疑わなかった。

水原氏の「賭博」がストンと腑に落ちた

 さらにこの度の結婚も「さすが大谷さんッ。女子アナ包囲網をよく無傷で切り抜けた!」と野球好きの友人は声を弾ませていたっけ。先に結婚した水原さんが影に日向になって力を貸していた結果かも、なんて想像してね。

 それが違法賭博? 窃盗? 球団解雇? 話、違うじゃない!って、そりゃあ、怒るよね。

 だけどその一方で、元ギャンブル依存症の私は「ああ、そうか。なるほどね」とストンと腑に落ちてしまったの。

 人は「あんな世界的な大リーガーの信頼を裏切るようなことをなぜするの? もし、万が一、それまでヤバいギャンブルをしていたとしても、通訳に雇われたときに、なぜきれいさっぱりやめない」と思うよね? そうしたら大谷さんを歴史に残る大リーガーに貢献した功労者として末代まで名を残したのに、と。球団からもそれなりの報酬をもらっていただろうに、と。がしかし、かつての私も含めてそうはいかない種類の人が世の中にはいるという現実。

 ここから先はどれだけの人に理解してもらえるのか自信がないまま書くんだけど、ギャンブルはする人はする、しない人はしない。いや、もうひとつ、ほどほどにお小遣いの範囲でするという人は大勢いて、春の天皇賞や暮れの有馬記念で丸めた新聞を振り上げている大観衆たちがそれだ。動かす金額は人それぞれだけど、レースが終わればまた日常に戻っていくまっとうな人たち。彼らには今回の水原氏の行動が全く理解できないに違いない。

 が、かつての私はそうではなかったんだよね。ギャンブルを仕事の合間の娯楽とするのがまっとうならば、ギャンブルが日常でその合間に仕事をしたり社交をして世間体を取り繕って日常を回す。競馬でいえば土日開催の中央競馬にだけ通っていたら、まっとう。平日も開催している地方競馬や競艇、オートレースをするようになったらかなりヤバい。朝から夜まで開いているパチンコも、通いようによってはヤバい。おそらくこの意見に世のギャンブラーは大きく頷くに違いない。

関連記事

トピックス

谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン