国内

女ヤクザが生きた“女の園” ソープランド売春や薬物中毒者に支えられたいびつな信頼関係 引退後は「孤立させない」モットーのNPO活動に 【ヤクザ博士インタビュー】

凶悪だった過去から「五十を過ぎて天命を知る」境地に至った(インスタグラムより)

国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん(インスタグラムより)

『「女ヤクザ」とよばれて──ヤクザも恐れた「悪魔の子」一代記』(西村まこ著)が、清談社Publicoから発売された。ヤクザ関連の著作も多い社会学者の廣末登氏は本書の構成や監修等に携わった。日本の裏社会史上初の“女ヤクザ”である西村氏の半生は“極悪”エピソードばかりだった。そんな彼女がなぜ、元犯罪者の更生支援や地域の清掃といった慈善活動に勤しむようになったのか。廣末氏が特に印象に残った西村氏が血気盛んな20代の頃のエピソードを紹介する。【前後編の後編。前編から読む】

──数年で記憶も飛んでしまうほど、女性にとって、かつて売春島と呼ばれた三重県・渡鹿野島で働くことは精神的に厳しいものなのですね……。島から泳いで逃げ出す人もいたんですよね。

 女つながりでサオリの話をしましょう。少年院が一緒だったサオリは、私が経営していたデートクラブでも働いてくれたことがあります。彼女は、私の家に住み着いてゴロゴロしていました。

 ある日「まこさんにご迷惑ばかりかけてしまいました。何も恩返しできませんから、私を売ってください。お金にして下さい」と、言い出したではありませんか。「おめえ、売られるって、どういうことか分かってんだろうな」と問うと、殊勝にも「はい、覚悟の上です」と。

──女性とある種の信頼関係は構築されていたと。

「そうかい、じゃあ、売ってあげるよ」と、渡鹿野島を仕切る東さんに電話してみました。しかし、この時(約30年前)は島に警察のガサが入っており、売春事業が衰退しはじめていたので、前借りで大金を出すようなお店がなくなっていたのです。

「こいつは困った。サオリのたっての頼みを叶えられないな」と思い、兄貴分の一人に相談してみました。すると「おれが面倒みている塩原温泉をあたってみるよ」と、言ってくれました。

 数日後、この兄貴分が「ここがいいんじゃねえか。一応、店の女将にも話し通してるよ」と、お店の名前と電話番号が書かれた紙を持ってきてくれたのです。早速、店に電話して、女将に事情を話すと、快く受けてくれるというじゃありませんか。翌日、サオリを乗せて、塩原温泉にある店に出向きました。金額の交渉はスムーズに運び、数日、サオリの働きぶりをみて、カネを振り込む段取りをつけた私は、サオリに最後の“サービス”をすることにしました。

──最後のサービスとは一体何でしょうか。

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン