恩師・野村克也氏と握手する楽天時代の田中将大(共同通信社)

恩師・野村克也氏と握手する楽天時代の田中将大(共同通信社)

「野村のオヤジならこう言う」

 両者は野村克也が恩人である点も共通する。田中にとって野村は楽天入団時の指揮官であり、山崎は「野村再生工場の最高傑作」を自負する。

「野村のオヤジが生きていたら、きっと今の将大に対しては私にかけてくれた言葉とまったく同じことを言うと思います。『人に言われて辞めるのはつまらんぞ』と。つまり、野球をやりきれということですね。200勝はもちろん達成して欲しいけど、将大の性格上、数字は目標にしていない。今年、『やりきった』と思えたならば、あいつは198勝でも199勝でもやめると思う」

 田中が兄貴分として慕った山崎は45歳まで現役を続けた。田中はまだ36歳だ。

「楽天ファンにとって、田中将大=24勝0敗(2013年に樹立したNPB記録)なんですよ。いまだに将大が投げたら負けないという全盛期の印象で見ている。それは酷なことではあるけれど、ユニフォームを着ている以上は、田中将大であって欲しいね」

 2013年に田中はシーズン24勝をあげ、日本シリーズ第7戦では日本一に向け試合を締めくくる9回のマウンドに上がった。そのとき、ホームスタジアムには田中の登場曲であるファンキーモンキーベイビーズの「あとひとつ」を楽天ファンが大合唱したのは語り種だ。

 およそ2週間の二軍調整を挟んだ田中は、200勝の大願に王手をかけられるか。

■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)

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