まだまだ緊張しているように見えるし、彼女の勢いと番組内に流れるスピードが合っていないようにも感じる。そして有働さん、思いのほか、噛む回数が多いのである。民放局の生放送ということで、CM入りや明けの仕切りもまだ不慣れ。『あさイチ』(NHK)で度々見られた彼女の勇気溢れる言動も、まだ『~zero』では確認できていない。
思えば、『あさイチ』で有働さんがあれほど伸び伸びやれた理由は、“女性蔑視”の文字を自らの辞書に持ち得ないV6の井ノ原快彦と、解説委員の柳沢秀夫氏が傍らにいたから。プライベートでも仲が良かった3人が作り出す空気感は、朝の時間帯にハマっていたものである。
当然、『あさイチ』以降の有働さんは女性人気が高い。が、23時台の『~zero』は男性視聴者も多い時間帯。小林麻央さんの初々しさや美しさ、山岸舞彩さんの脚線美が活きた枠でもある。
それに比べると、有働さんのワンショットは華やかさという点ではかなり欠けている。
これはNHKの女性アナウンサー全員に言えることなのだが、彼女たちは「NHKのアナウンサーだからこその有難み」というのが、人気に加味されているものだ。
それがフリーになって民放の枠に入ると、なぜか減点されていく。それでも畑恵氏、草野満代氏や膳場貴子氏など、オジサマ人気の高い元NHK女性アナウンサーは、男性視聴者、男性スタッフに後押しされ、徐々に人気を取り戻していくものだ。
しかし、「NHKだからこそ、かわいかった」久保純子や、「NHKだからこそ、面白かった」住吉美紀は、特に帯番組のMCなどではハマらず、今に至る。
神田愛花のように“ぶっとびキャラ”として開き直れれば別だけれど、「NHKの女性アナウンサー」として人気を博してきたプライドと実績が、彼女たちの仕事選びの邪魔をしていることは否めない。
では有働さんはどのタイプかというと、草野さん、膳場さんよりも、住吉さんやクボジュンのほうに近いだろうか。つまり「NHKだからこそ活きていた」「輝いていた」人だと思うのだ。
とはいえ、同年代の女性には圧倒的な人気を誇るし、インタビュー力は抜群で、『~zero』でも見せたタモリへの“聞く力”や、場の雰囲気づくりは秀逸だった。
僭越ながら、一つ提案させてもらうならば、有働さんは、ある人数以上の人たちを仕切ることで活きるタイプの話し手ではないか。つまり、ゲストとのツーショットではなく、日テレの複数のアナウンサーを仕切って、人柄や頭の良さが視聴者に伝わるタイプだと思うのだ。