国内

安倍晋三氏 逮捕された「山口組の金庫番」と一緒の写真発覚

 都内でも有数の高級住宅地・世田谷区成城――。その一画に敷地面積917平米、延床面積578平米と、界隈でも威容を誇る大豪邸が建っている。

 西洋風の玄関を抜けると、その先には磨きぬかれた白亜の大理石の階段。2階に上がると、見晴らしの良い広々としたリビングルームがある。大きな窓からは青々とした芝生と木々が見える。その奥の応接間に通されると、窓際には1枚の写真が金縁の額に飾られていた。

 豪邸の主が訪れた客人たちに自慢げに見せていた写真。写るのは3人の男性である。

 中央は、政権奪取に邁進する自民党の新総裁、安倍晋三氏だ。向かって左側では白人男性が白い歯を見せて笑っている。その男性と交流のある元自民党代議士がいう。

「米共和党の大物政治家・マイク・ハッカビー氏です。元アーカンソー州知事で、2008年の大統領選に名乗りを上げ大善戦。今年の大統領選にも共和党候補として名前が挙がっていました。キリスト教福音派の牧師というバックボーンから、米保守派では根強い人気がある。ハッカビー氏は4年前に初来日しています」

 写真は、2008年6月のハッカビー氏の来日時に議員会館の安倍事務所内で撮られたものだ。安倍氏が「健康上の問題」を理由に、総理の職を自ら辞して、1年も経っていない頃である。

 問題は安倍氏の右側に立ち、悠然と笑みをたたえる人物である。真っ白のシルクのスーツにピンクのネクタイ、そして丸坊主姿の男性。現在、刑事被告人として公判中の韓国籍の男性、永本壹柱(本名・孫壹柱)氏だ。彼がこの大豪邸の家主である。

 永本氏が公判で問われているのは、中堅ゼネコンを舞台とした架空増資事件をめぐる貸金業法違反の罪だ。2008年、貸金業の登録がないにもかかわらず、同社の増資を引き受けた金融ブローカーらに計7億3000万円を貸し付けたとされる。今年3月、逃亡先の韓国から帰国したところを逮捕された。

 逮捕翌日の新聞には、〈指定暴力団山口組系組織の資金を運用していたとみられ、組対3課は収益が暴力団側に流れたとみて追及する〉(3月11日付毎日新聞)、〈捜査関係者によると永本容疑者は山口組系暴力団関係者〉(同日付朝日新聞)などと報じられたように、捜査当局は「山口組の金庫番」として、永本氏の背後人脈に注目していた。

 実際、公判では永本氏本人が山口組系組長との長年の交際や、祝儀名目で数百万円をわたしていたことを明かしている。

 永本氏のビジネスパートナーはこう証言する。

「彼の仕事は闇の金融屋です。どんなにヤバい相手や仕事でも儲かると思えば、不動産などを担保に高利で貸す。近年は上場企業を舞台とした架空増資や仕手戦に関与して荒稼ぎし、『10億円をすぐに用意できる男』、『闇金融のドン』と称されるほど業界では有名でした」

 また、永本氏は芸能界やスポーツ界のタニマチとしても顔が広かった。2009年9月、東京・代官山の高級レストランで元横綱・朝青龍の誕生日パーティが盛大に開かれた。有名ミュージシャンや俳優、元プロ野球選手や現役力士ほか、大手芸能プロやパチンコメーカーの幹部らが顔を揃えた豪華な催しだ。

 出席者のひとりは、このパーティの主催者が「永本氏だった」と話す。

「このパーティには山口組の最高幹部も姿を見せていました。あり余る資金力を背景にした永本さんのハンパない人脈に圧倒されましたね。都内の高級ホテルを定宿にし、ロールスロイス・ファントムLWBなど複数の超高級外車で移動するというライフスタイルを自慢げに周囲に話していました」

 自らの逮捕情報が浮上した昨年秋以降、永本氏は秘かに所有する資産の処分を行なっていた。成城の大豪邸を5億5000万円で売却することを企てたが、買い手側との値段が折り合わず、交渉のさなかに逮捕された。

 永本氏と写真を撮った経緯について、安倍事務所は文書でこう回答した。

「地元後援者の依頼でハッカビー氏と会うことになりました。当事務所を訪問したハッカビー氏一行は複数名でしたが、当該人物とは面識も、お付き合いもなく、記憶にありません。写真撮影を求められれば、駅のホームを含め何人にも応じています」

 公判のために東京地裁に姿を現わした永本氏にも話を聞いた。

「元々、安倍さんの地元の有力後援者と親しく、その縁で安倍さんとハッカビーさんを紹介され、事務所に行って一緒に写真を撮りました。安倍さんは拉致の問題に熱心だったから、北朝鮮に橋渡しができる私ならば、何かお役に立てると思ってお会いした。安倍さんには献金もしていないし、その時にお会いしただけで、親しく付き合っているわけではありません」

 新生・安倍自民の船出に冷や水を浴びせる、絶妙のタイミングで流出した「黒い交際」写真。来たるべき解散・総選挙を睨んだ謀略なのか、それとももっと別の意図があったのだろうか。

※週刊ポスト2012年10月26日号

関連記事

トピックス

9月6日から8日の3日間、新潟県に滞在された愛子さま(写真は9月11日、秋篠宮妃紀子さまにお祝いのあいさつをするため、秋篠宮邸のある赤坂御用地に入られる様子・時事通信フォト)
《ますます雅子さまに似て…》愛子さま「あえて眉山を作らずハの字に落ちる眉」「頬の高い位置にピンクのチーク」専門家が単独公務でのメイクを絶賛 気品漂う“大人の横顔”
NEWSポストセブン
川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(当時20)の遺体が、元交際相手の白井秀征被告(28)の自宅から見つかってからおよそ4か月
「骨盤とか、遺骨がまだ全部見つかっていないの」岡崎彩咲陽さんの親族が語った “冷めることのない怒り”「(警察は)遺族の質問に一切答えなかった」【川崎ストーカー殺人】
NEWSポストセブン
最新機種に惑わされない方法とは(写真/イメージマート) 
《新型iPhoneが発表》新機能へワクワク感高まるも「型落ち」でも充分?石原壮一郎氏が解説する“最新機種”に惑わされない方法
NEWSポストセブン
シーズンオフをゆったりと過ごすはずの別荘は訴訟騒動となっている(時事通信フォト)
《真美子さんとの屋外プール時間も》大谷翔平のハワイ別荘騒動で…失われ続ける愛妻との「思い出の場所」
NEWSポストセブン
選手会長としてリーグ優勝に導いた中野拓夢(時事通信フォト)
《3歳年上のインスタグラマー妻》阪神・中野拓夢の活躍支えた“姑直伝の芋煮”…日本シリーズに向けて深まる夫婦の絆
NEWSポストセブン
学校側は寮内で何が起こったか説明する様子は無かったという
《前寮長が生徒3人への傷害容疑で書類送検》「今日中に殺すからな」ゴルフの名門・沖学園に激震、被害生徒らがコメント「厳罰を受けてほしい」
パリで行われた記者会見(1996年、時事通信フォト)
《マイケル没後16年》「僕だけしか知らないマイケル・ジャクソン」あのキング・オブ・ポップと過ごした60分間を初告白!
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン
『東京2025世界陸上』でスペシャルアンバサダーを務める織田裕二
《テレビ関係者が熱視線》『世界陸上』再登板で変わる織田裕二、バラエティで見せる“嘘がないリアクション” 『踊る』続編も控え、再注目の存在に 
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビーカーショットの初孫に初コメント》小室圭さんは「あなたにふさわしい人」…秋篠宮妃紀子さまが”木香薔薇”に隠した眞子さんへのメッセージ 圭さんは「あなたにふさわしい人」
NEWSポストセブン
試練を迎えた大谷翔平と真美子夫人 (写真/共同通信社)
《大谷翔平、結婚2年目の試練》信頼する代理人が提訴され強いショックを受けた真美子さん 育児に戸惑いチームの夫人会も不参加で孤独感 
女性セブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン