『花燃ゆ』の初回を見ていて、思い至りました。
朝ドラ『マッサン』に足りないのはこの面白さではないか、と。「ウイスキー作りへの情熱」といった主旋律以外には、時代性も歴史性もくっきりと浮かんでこないし手応えが薄い。いったい、当時の人たちがどんな政情の中でどんな食卓を囲みどんな楽しみを持ってどんな買い物をしていたのか。3か月間も「ウイスキー作りが好き」というワンテーマを、怒鳴るばかりの猪突猛進型主人公に繰り返されると、「もうわかったよ」とか言いたくなってしまうのです。
長丁場のドラマで視聴者を惹きつけるためには、時代の中の位置取りやバラエティある演技を引き出すことが、必要不可欠でしょう。ドラマブームと言われる昨今。朝ドラと大河ドラマは、まさしく日本を代表するドラマ。だからこそNHKには、時代と社会をしっかり土台として描き、その上に主人公の人生模様を描き切るという王道を歩いて欲しいのです。