スポーツ

鎌田実のバックハンドトス 吉田義男が相棒だから生まれた

吉田義男氏と組んだ二遊間を振り返る鎌田実氏

 高校時代に名遊撃手として名を馳せた鎌田実氏は、1957年の大阪タイガース入団後、二塁手へ転向。史上最高の遊撃手と評価される「牛若丸」吉田義男氏とのコンビは、「ノックだけでカネを取れる」と称えられた。三塁の三宅秀史氏とともに形成した内野は「鉄壁の内野陣」と呼ばれた。現在は中学生もふくめたアマチュアへの指導も手がける鎌田氏が、日本で初めてバックハンドトスを繰り出したときのことを語った。

 * * *
 僕が阪神に入団した時には、4年先輩の吉田義男さんはすでに“牛若丸”と呼ばれていた。吉田さんは打球への反応はもちろん、捕って投げる動きも他の選手よりワンテンポ早く、合わせるのが大変だった。二塁手として吉田さんのプレーについていくまでに4年かかったが、それからの4年間の阪神の二遊間は日本一だったと思います。

 当時は二遊間でなく「三遊間」の時代。巨人の長嶋茂雄&広岡達朗と阪神の三宅秀史&吉田の三遊間が代表的で、少年野球ではチームで一番守備のうまい子供が遊撃手、次が三塁手をやるのが当たり前。僕も高校時代は遊撃手でした。プロで二塁になったのは、吉田さんがいたから仕方なかった(苦笑)。

 強肩を活かし、広い守備範囲を動き回る遊撃手は黙っていても目立つポジション。ところが二塁手は地味で目立たない。そこでアピールするために始めたのがジャンピングスローでした。上空で反転しながら投げるのでジャンプ力が求められました。

 これは当時の阪神で選手兼任監督だった藤村富美男さんの発案でした。試合前のシートノックにショーの要素を入れて観客に見せていたのです。肩の強い三塁手の三宅さんには、ライン際に鋭いゴロを、吉田さんにはクイックスローができるようにボテボテの当たりを転がす。僕には二塁ベース付近に打ってジャンピングスローをさせた。相手チームもベンチから見ているし、どこの球場でもゲーム前のシートノックは拍手喝采でした。

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン