国内

維新・橋下徹氏と松井一郎氏の衆院選出馬断念の影に創価学会

 橋下徹・大阪市長は昨年の衆院選で出馬を検討していた。大阪都構想に反対する公明党に対して怒り心頭に発したため、公明党が議席を持つ選挙区に自ら刺客になろうとしたのだ。しかし、水面下での菅義偉・官房長官の働きかけで出馬をとりやめることになったという。何が起きていたのか。連載「総理の影 菅義偉の正体」でノンフィクション作家の森功氏が迫る。(敬称略)

 * * *
 五五年体制の下、中道を謳ってきた公明党が、政権与党入りすべく自民党と連立を組むよう舵を切ったきっかけは、九八年七月の小渕恵三内閣の発足だった。以来、十五年以上の長きにわたり公明党や創価学会との窓口になってきたのが、自民党の現総務会長である二階俊博や大島理森、引退した古賀誠といった古手の自民党の重鎮たちだ。創価学会幹部が解説する。

「なかでも創価学会に最も太いパイプを築いてきたのが、二階さん。自自公連立のとき、自由党の小沢さんの側近として汗をかき、連立に奔走した立役者です。公明党の市川雄一元書記長と小沢さんの「一一ライン」がクローズアップされましたが、もとはといえば創価学会の西口良三副会長が小沢さんや二階さんに協力した。二階さんはそこから自民党に出戻り、自民党内で右に出る者のない創価学会との信頼関係を築いた」

 大阪出身の西口良三は名誉会長の池田大作の運転手から引き上げられ、創価学会副会長になる。七七年以降、関西長や総関西長という肩書を得て、国政、地方の選挙を問わず、関西の学会・公明組織を動かしてきた。常勝関西の「西口王国」を築いて関西創価学会のドンと呼ばれ、池田大作の揺るぎない信任を得てきたともいわれる。

 西口は、〇九年八月の総選挙で北側一雄や冬柴鉄三といった現職の六議員が相次いで落選した責任をとって、総関西長の座を退き、創価学会の副理事長に就く。

 そんな西口王国凋落の最大の要因が池田大作の不在だ。折しも〇九年の総選挙と同時に、名誉会長の重病説が流れ始める。これまでも何度か死亡説などがあったが、実際にこれ以降、池田は表舞台に登場しなくなる。

 名誉会長の不在が、創価学会内部の権力構造を変え、自民党との関係も再構築されていく。先の創価学会幹部が続ける。

「学会内部のキーマンが、秋谷栄之助前会長であり、佐藤浩副会長でしょう。それまで秋谷前会長は池田名誉会長から外され、実権を失っていました。そのため、現在の原田稔会長や正木正明理事長、西口総関西長が、自民党の二階さんや古賀さん、大島さんたちと選挙態勢をつくり、協力し合ってきました。

 しかし池田名誉会長の不在で、秋谷前会長が復活していった。そうして学会本部の秋谷前会長を中心に、弁護士の八尋頼雄、自民党の菅官房長官に近い谷川佳樹、佐藤浩という学会の実力副会長のラインが主流を占めるようになっていったのです」

 そこから菅が創価学会の新たなカウンターパートとして浮上したのだという。創価学会内部の権力構造の変化は、さらに鉄の結束を誇ってきた関西の「西口王国」を直撃した。学会幹部が補足する。

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
日本テレビの杉野真実アナウンサー(本人のインスタグラムより)
【凄いリップサービス】森喜朗元総理が日テレ人気女子アナの結婚披露宴で大放言「ずいぶん政治家も紹介した」
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン